あなたが1日の仕事を決めるとき、なんとなく過去の経験から1つ1つの作業にかかる時間を決めてはいないだろうか。
それぞれの作業にかかる時間をしっかり数値化しない人は多い。だがそれでは「途中で取引先から電話があったから」などと理由づけをして、いつまでもうまく段取りできないのがオチである。
段取り力を高めるには、自分の「モノサシ」を持つことが欠かせない。たとえば資料作りであれば、資料を探すのにかかる時間やテキストを作成している時間など、1つ1つの作業を分解して、かかった時間や手間などを記録していくべきである。
このように聞くと、ものすごく手間のかかるやり方だと感じるかもしれない。しかし手間をかけて身につけた動作は、いずれ無意識に処理できる習慣へと変わっていく。段取りに関しても、まずはその動作にかかる時間や労力を数値化することがスタート地点となる。こうすることで「計画錯誤」(なにかに取り組むときにかかる時間や労力を軽めに見積もる傾向)の罠から脱することができるのだ。まずは自分の力を記録することから始めてみよう。
私たちは複数のことを同時におこなうマルチタスクができる人=段取り上手だと思いがちだ。だがそれは大きな誤解である。段取り上手な人は、同時並行でタスクを処理しているのではなく、まずシングルタスクを終わらせてから、次のシングルタスクと向き合うというサイクルを繰り返している。そうすることで複数のタスクが期日内に片付くように処理しているのだ。
ある実験によると、マルチタスクは作業効率を40%低下させ、シングルタスクに比べて作業時間が50%長くなり、作業ミスを50%増加させるという。忙しくしているわりに成果が上がらない人は、マルチタスクの罠にはまっているのかもしれない。自分がなにに集中すべきかを考え、優先順位をつけていこう。
シングルタスクで物事を処理する感覚を身につけるには、15分単位で1つの作業を終える「タスクフォーカス」という手法がおすすめだ。1つの作業のあいだに2、3分の休憩をはさみ、また次の15分の作業をするという具合に、1タスクずつ着実に片付けていこう。
「失敗は成功のもと」という格言があるように、学びは失敗から得られるものだ。しかし計画を立てるとき、なぜか私たちは失敗の可能性を考慮しないことが多い。これは私たちに「確証バイアス」という傾向があるからで、この確証バイアスが判断を誤らせる原因だとされている。
「こうあってほしい結論」を定めると、私たちはそれに合致する情報だけを集め、合致しない情報は無視するという傾向を持っている。「うまくいけばこうなるはず」「うまくいってほしい」と思っていると、うまくいかせるための可能性にばかり目が向いてしまい、予見可能なはずのトラブルの可能性から目をそらしてしまう。これが確証バイアスである。
だからこそ段取りを立てるときは、先に「失敗する、挫折する、計画外のことが起きる」ことを計画に盛りこまなければならない。予想外の事態への対処法を考えてこそ、真の段取り上手といえよう。
目標やゴールの設定方法に関するさまざまな研究を検証した結果、現在のところもっとも効果的なゴール設定方法だとされているのが「MACの原則」だ。
3,400冊以上の要約が楽しめる