リーダーが口で言うだけで行動しなければ、部下はついてこない。だからリーダーはまず、自分自身をリードする力、物事を先送りせずに進んで行う実行力を養う必要がある。この「リード・マイセルフ」の土台をつくってくれるのが「かたづけ思考」だ。
著者がかたづけコンサルティングを担当した、ある販売店の社長の事例を紹介しよう。彼は店舗の事務スペースを片づけるためにコンサルティングを依頼した。片づけによって経営を改善し、売上をアップさせたいと思ったことが依頼のきっかけだったという。
著者が指導したのは、毎日18時45分~19時の15分間だけ片づけに取り組むこと。開始前と終了時に、片づけた場所の写真をメールで送ってもらうようにした。彼は日々多忙だっただけでなく、片づけが苦手で物事を先送りするクセもあったため、事務スペースは足の踏み場もないほど散らかっていた。著者自身、難航することを予想していたという。
だがその予想は裏切られた。彼は毎日時間ぴったりに写真を送ってきて、最初の1カ月で予定していた量の2倍を片づけたのだ。彼は見事片づけの習慣化に成功し、モノ探しに費やしていた時間を削減できただけでなく、物事を先送りする悪癖を直すことまでできた。
片づけは誰にとっても面倒なものだ。自分をリードして片づけに取り掛かることは「リード・マイセルフ」の練習にもなる。
著者がコンサルティングを行ったある会社では、モノがあふれた倉庫から未使用のコピー用紙が大量に発見された。誰かが倉庫の奥にあるストックに気づかず発注し、届いたものを倉庫の入口付近に置いた結果、奥にあるコピー用紙が忘れ去られてしまったのだろう。倉庫の入口付近にモノをためていくと、やがて大半のモノは奥へ奥へと追いやられ、倉庫がジャングル化していってしまう。
このケースでは、4つの無駄が生まれている。買い置きのコピー用紙が使われないという「経費」の無駄、倉庫が有効活用されていないという「スペース」の無駄、なかなかモノが見つからないことから起こる「時間」の無駄、時間を無駄にすることによる「人件費」の無駄である。これらの無駄は片づけによって削減できるのだから、片づけは会社の利益につながっているといえる。
かたづけをチームの文化として根づかせることができれば、仕事の効率化以外にもうれしいメリットがある。
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