ブランド人を目指すにあたって、まず考えてほしいことがある。それは、ブランド人とは仕事人であるということ、そして「仕事とは何なのか」ということだ。
ラーメン店に入ると、カップラーメンより高いのにカップラーメン以下の味しかしない1杯にがっかりさせられることがある。たしかにラーメンやのオヤジは早起きして汗水たらしてスープを仕込んでいるのだろう。しかし彼のラーメンは客を満足させていない。むしろ「二度とこの店には来るものか」という憤りさえかき立てる。さて、このオヤジは果たして「仕事をしている」と言えるだろうか。
仕事のあるべき姿とは何か。それは、「お客様に喜びを与えること」「他人の役に立つこと」である。汗水やつらさ、苦しさそれ自体に価値はない。お客様を喜ばせることだけがブランド人の仕事である。どんなに苦労しようと、誰も喜ばせることができなければそれは仕事ではない。お客様を喜ばせ、人の心を動かして初めて、君の仕事が世の中に価値を生み出したことになる。
一度、「鳥の目」になって自分と自分の仕事とお客様との関係を俯瞰してみよう。君の仕事の本当のお客様は誰か? 他人や社会とどのような関わりをもっているか? どうすれば君の仕事がお客様、ひいては社会を盛りたてることができるか? どんな大義や志があるか? そして夜寝る前に、今日1日の自分の仕事が誰を喜ばせたかを考えよう。ブランド人への道は、お客様とともに歩むものである。
あなたはいくら給料が欲しいだろうか。この質問に答えられないならば、ブランド人にはなれない。年収300万円でいいのか、それとも5000万円稼ぎたいのか。自分の価値をはっきり数字で表そう。
著者は面接をするとき、「あなたはいくら給料がほしいのか」そして「あなたはなぜその金額に値するのか」と尋ねることがある。正解はない。「母親には苦労をかけた分、たまにはうまいものを食わせてやりたい。だから月給30万~40万円は欲しい」でもいいし、「今は自分の能力や人脈を増やしたいから、無給でいい。その代わり大きなプロジェクトに関わらせてほしい」でもいい。「趣味のサーフィンを第一優先にしたいので、波の調子がいいときはいつでも休みたい。手取りは15万円程度でいい」という生き方もありだろう。「自分の値段」を言語化したうえで、それに見合った労働力を提供し、適正な給料をもらうことが重要だ。
カネの話にこだわらない人は、自分という商品を売ることを放棄している。「自分の売り値」は自分で決めろ。
ブランド人になりたいなら、まずひたすら量をこなすことだ。仕事の質を高めるためには、その前に圧倒的な量をやりきる時間が必要である。
世界で最も有名なバンド、ビートルズにも下積み時代があった。メジャーデビューする前、イギリスからドイツに巡業に行き、ライブハウスで毎晩8時間、ときには12時間に及ぶステージを2年ほど続けていたという。このときの下積みがビートルズの土台をつくっている。
著者も下積みを経験している。
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