「持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)」が2015年9月の国連サミットで採択された。2030年を目処に、先進国と途上国が取り組むべき目標として設置された画期的合意である。基本コンセプトに「だれ一人取り残さない(No One Left Behind)」が掲げられており、グローバル化による地域経済格差問題を解決しなければ、持続可能な成長は見込めないとしている。このコンセプトを分野別目標としてまとめたものが持続可能な開発目標、通称「SDGs」だ。
いま地球は非常に厳しい状態に置かれている。生態系の破壊、気候変動、土地利用変化、新規化学物質による汚染、成層圏オゾンの破壊など、人間の活動が地球システムの機能に甚大な変化を引き起こしている。すでにいくつかの面では限界を超えつつあるという研究結果もあるほどだ。地球環境が限界を迎えるとき、そこに持続可能な開発や成長はありえない。
SDGsが採択されるまでには、ミレニアム開発目標(MDGs)とリオ+20という2つの流れがあった。MDGsは2000~2015年までの開発分野における国際社会の目標だったが、目標の達成度が国・地域により異なったことや、経済・環境目標の数が不十分だったという指摘がされている。一方のリオ+20(2012年)では経済、社会、環境のあらゆるレベルで、持続可能な開発を組み込むことが宣言された。
SDGsは17のゴール、169のターゲット及び指標で構成されており、環境、経済、社会における諸問題の包括的な解決をめざしている。どれも非常に野心的な内容で、未来のあるべき姿から逆算して必要な手段を求める「バックキャスティング」という方法がとられているのが特徴だ。
たとえばゴール12「持続可能な生産消費形態を確保する」に対しては、ターゲット12.5「2030年までに廃棄物の発生防止、削減及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」などが対応する。ゴールに対する、より具体的な到達点・経過点がターゲットに当たるといえよう。
SDGsのゴールのほとんどは環境に関するものだ。たとえばゴール6(水)、7(エネルギー)、11(都市)、13(気候変動)、14(海洋)、15(生態系・森林)などは、その名前からして環境に直接関係することがわかる。またゴール5(ジェンダー・平等)は一見環境と関係なさそうだが、経済的資源に対する同等の権利など、自然資本へのアクセスの改善がターゲットのひとつとして設定されている。
2016年5月、日本でも「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」が設置された。推進本部の本部長に内閣総理大臣、副本部長に内閣官房長官と外務大臣が置かれ、全閣僚が構成員になっている。本部の下には行政、NGO、有識者、民間セクター、国際機関など、関係者が意見交換をする「SDGs円卓会議」が設置され、同年12月には「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」が策定。8つの優先課題と具体的施策が盛り込まれ、翌年12月は「Society 5.0の推進」(後述)、「SDGsを原動力とした地方創生」、「SDGsの担い手としての次世代や女性のエンパワーメント」という、3つの柱からなる『SDGsアクションプラン2018』が作られている。
また環境省は「SDGsステークホルダーズ・ミーティング」も開催している。企業や市民などさまざまな関係者が集まり、優良事例をシェアするのが目的だ。これまで6回開催され、SDGs拡大のための意見交換や情報共有がされている。
SDGsの必要性は、国家政府のみならず企業にも浸透してきている。
サステナビリティ(持続性)における優良企業として突出しているのが「ユニリーバ」だ。
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