勉強は必ず役に立つから、やっておいたほうがいい。大人はそれをわかっている。だが子どもはまだそのことに気づいていないから、勉強をやりたがらない。楽しいことなら言われなくてもやるが、目的のない勉強は楽しくないものだ。だから著者は、「楽しくない」勉強を「楽しい」に変える方法をいつも考えている。
著者はある日、子どもたちが都道府県の「勝手に観光大使」に就任したことを発表する。子どもたちは「何か勉強させられるようだ」ということを予感しつつ、楽しいことができそうだと身を乗り出してきた。「勝手に」や「観光大使」などと言った予想外のフレーズを使うことで、「どんなおもしろいことをさせてくれるの?」と期待が膨らんでいるようだった。
著者が行ったのは、子どもたち一人ひとりに1つの都道府県を担当させ、パワポで資料を作らせることだ。このプロジェクトのポイントは、担当する都道府県を自分で選ばせたこと、そして彼らにとって「大人が使うもの」であったパワポに挑戦させたことだ。彼らは誰よりもカッコいい資料を作りたいと、自ら調べたり、子ども同士でテクニックを教え合ったりしてパワポのスキルを高めていった。
大人が何かを提案したとき、子どもたちがしぶしぶ応じるようでは不十分だ。それよりも、魅力的な提案をしたり、子どもたちにとって気になる情報を提供したりすることによって「やりたい! やってみたい!」と自分からいってくれるようなしかけを作ろう。
どうすれば子どもの「やりたくない」を「やりたい」に変えられるか。それは、「やりたくないけど、仕方ない」という状況をつくることだ。そうすれば、しぶしぶでもやってくれるだろう。
宿題をやらせるときには、「早くやりなさい!」というのではなく、「何時から宿題やるの?」と問いかけてみよう。「19時からやる」という答えがかえってきたら、それ以上はうるさく言わない。そして決めた時間がきたら「19時だよ」と声をかける。約束を守らないのはみっともないので、子どもは「仕方ないな」と重い腰を上げるはずだ。もしそれでもやらなければ、「自分でいったことは、きちんとやりなさい」ともうひと押しする。いずれにせよ、「どうやる?」「いつやる?」などと問いかけることで、子ども自身に宣言させるのがよい。
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