ジャパネットたかた すごい戦略

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ジャパネットたかた すごい戦略
出版社
出版日
2018年12月13日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

今やテレビショッピングは、BS放送をザッピングすればいくらでも目にすることができる。だが、テレビショッピングと言えば「ジャパネットたかた」だと、誰でも思うのではないだろうか。たとえ利用したことはなくても。

そう思う理由は、かなり前から放送していたのを見た記憶があるからかもしれないし、髙田明氏の独特の話法が印象的だったからかもしれないが、おそらくはその両方だろう。とにかく「印象に残っている」のだ。

高田明氏は、既にジャパネットたかたの社長を退任し、会長などの役職にも就いておらず、テレビ放送にも出演していない。完全に一線を画した格好だ。バトンは、2代目の髙田旭人氏に引継がれている。

ジャパネットたかたは、テレビショッピングではその先頭を走ってきた。しかし「時代は既にインターネット」とはよく聞くところで、通信販売という大きな括りで見た場合には、アマゾンなどの圧倒的に規模の大きい競合がいるのも確かである。にもかかわらず、ジャパネットたかたの成長は終わっていない。どこか他とは違うのである。

その違いは、長崎の小さなカメラ店だった創業期から今でも続いている、明確な戦略から生まれたものだ。本書ではその戦略を、「ランチェスター戦略」を通して読み解いていく。本書を読めばきっと、ジャパネットたかたの強さの秘訣が深く理解できるだろう。

ライター画像
三浦健一郎

著者

名和田 竜(なわた りょう)
NPOランチェスター協会常務理事兼副研修部長・認定インストラクター
相模女子大学非常勤講師、ランチェスター戦略学会幹事、リレーションステージLLP代表
大学卒業後、広告代理店にて営業・プランナーとして数多くの成功企画を手がける。雑誌・TVなどにも取り上げられた企画も多数。その後、本家ランチェスター協会にてランチェスター戦略を学び独立。現在はコンサルタント・研修講師をはじめ、執筆・講演など幅広く活躍中。2013年にはバンコクにて日本人初となるランチェスター戦略研修を現地のタイ人へ実施、大成功を収める。その他、ランチェスター協会の専門研究コースをはじめ、シナプス・マーケティング・カレッジ、マーケティング研究協会、澤田経営道場(選考委員も兼務)等でレギュラー講師も務める。
また「戦国武将」「幕末・維新」をテーマにした講座はもう1つの人気コンテンツ。著書に『全図解 ランチェスター戦略がぜんぶわかる本』『まんがで身につく ランチェスター戦略』(以上、あさ出版)、『しくじり企業も復活する7つの大原則』(ビジネス社)、『書込式ワークシートで小さな会社が儲かるランチェスター戦略』(秀和システム)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    ジャパネットたかたは、長崎の小さなカメラ店からスタートし、テレビショッピングによって大きく成長した。
  • 要点
    2
    ランチェスター戦略は、ビジネスで競合する弱者・強者が戦うべき市場と、その戦略を教えてくれるものだ。弱者には「差別化戦略」が、強者には「ミート戦略」が有効だとされる。
  • 要点
    3
    ジャパネットたかたは、その初期から今に至るまで、「兵力数を増やす」、商品の価値を「コンテンツ」を通して伝える、独自のポジショニングを築くなどといった戦略をとってきた。

要約

ジャパネットのライフサイクル

導入期から成熟期まで
avdyachenko/gettyimages

企業には、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」というライフサイクルがある。ジャパネットたかた(以下、ジャパネット)は、この時流に合わせた戦略によって成長していった企業だ。

まず、導入期(1986~1990年)だ。ジャパネットは、創業者の髙田明氏(以下、明氏)が家業のカメラ店から独立したことから始まった。カメラ販売以外の売上を得るべく、観光地やホテルでお客さんの写真を撮り、現像してプリント販売する仕事もやっていたという。

一度目のターニングポイントとなったのが1990年。NBC長崎放送でのラジオショッピングを始めたことだ。この時期には、その他にもさまざまなアイデアで売上を伸ばしていった。

1990年から2000年は、ジャパネットの第1次成長期にあたる。1991年にはラジオショッピングの全国ネットワーク化を完成させた。そして3年後の1994年には、深夜の30分番組でテレビショッピングをスタートさせる。テレビショッピングによって知名度と売れ行きを飛躍的に伸ばした時期だ。

2000年から2010年の10年間が第2次成長期だ。本格的なインターネット時代が幕を開けたこの時期、ジャパネットも早々にオンラインショッピング事業を開始した。

とはいえ、メインはまだテレビショッピングだ。2001年にはテレビスタジオを開設し、自前で番組を制作するようになった。また同時に、「スカイパーフェクTV!」に専門チャンネルを開局し、生放送での全国放送も開始した。

この10年間は、「自前スタジオ」「自前制作」「生放送」の3つのキーワードで語ることができる。顧客情報の流出という事態もあったが、真摯な対応が評価され、それまで以上の成長をみせた。

2010年から現在までは、成熟期だ。ジャパネットのブランドは既に認知され、安定して成長している。2011年の東日本大震災では大打撃を受けたものの、あえて義援金を送る気概も見せた。2012年には、六本木に新しい東京オフィスとスタジオを開設するなど、逆境にあっても攻めの姿勢を貫いている。

その後、明氏は社長を退任。2代目の旭人氏が後を継ぎ、現在に至る。

ランチェスター戦略

ランチェスター戦略の3つの特徴
metamorworks/gettyimages

ジャパネットの戦略は、ランチェスター法則とランチェスター戦略によって読み解くことができる。

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要約公開日 2019.02.14
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