日本の労働力とみなされる生産年齢人口は、2015年までの20年間で、約13%減少している。2050年にはさらに34%減り、約5001万人になると予想されている。こうした現状から、日本人のみを対象にした採用は非現実的だといえる。
世界には数多くの有名な大学が存在し、優秀な人材がいる。世界規模で採用を行えば、今までは出会えなかった素晴らしい人材に出会う可能性が高まる。
職種でいえば、エンジニア、商社やメーカーなどのグローバルな業界での海外営業、商談の通訳や翻訳などがあげられる。海外進出のコンサルティング企業、インバウンド事業など、外国人の採用が活きる領域は実に多い。
じつは日本は外国人にとって就労が比較的容易な国の一つだ。就労ビザの取得が難しいアメリカに比べれば、日本の要件はゆるい。ある程度の学歴は必要だが、大学・短大・専門学校などの卒業生で、それを証明できる資料があること、そして職務内容が就労ビザの対象で、申請に必要な書類をそろえられれば、基本的には許可される。
優秀な人材の宝庫とされる外国人の人材市場で人を雇うと、日本人とは違った面で高い能力を持った人材を発掘できる。まず、彼らの多くは母国での起業を志望しているため、経営者の視点で物事を考えることに長けている。
また、向上心が強い人も多く、貪欲に学ぶ姿勢を持っていることが多い。そんな外国人社員に刺激を受け、日本人社員のモチベーションが上がる例も見られる。
さらには、外国人が持つ人脈やネットワークの活用により、販路拡大につながる場合もある。海外の取引先の商習慣への理解が仕事をスムーズにしてくれるのも、外国人雇用のメリットだ。
外国人の採用には、いくつか重要なポイントがある。まずは、日本語能力を問いすぎず、仕事の能力や素質を見ることだ。採用の幅を狭めすぎないようにしたい。日本語能力に関しては、経験と時間が解決してくれることも多い。特に自社社員以外の日本人と話す必要がない場合や、通訳者がいる場合は、専門知識や技術で判断するとよい。
次のポイントは、英語が話せる人を採用することである。母国語でもないのに英語が話せる人は、優秀な人材である可能性が高く、コミュニケーションを英語で行える。
また、福利厚生の充実は、外国人にとっても大事なアピール材料になる。レクリエーション的な要素だけでなく、スキルアップのための費用の一部負担も効果的だ。これにより応募が増えた会社もある。
母国の家族や親戚に日本の仕事の説明をしたい外国人にとっては、会社のノベルティグッズの配布は喜ばれる。ライフラインともいえる在留資格に関する支援、言語や宗教に対する理解も、優秀な人材に門戸を広げることにつながる。
優秀な人を集めるためには、会社のほしい人物を決めなければならない。そのうえで、ほしい人物に応募してもらえるような求人情報の書き方が求められる。
まずは、条件や仕事内容を具体的かつ詳細に記載する。特に外国人の場合、優秀な人材ほど、条件面を確認して応募するかどうかを検討する。特定の国の人を採用したい場合は、その国の言葉で掲載すると飛躍的に応募が増える。なぜ外国人社員が必要なのかについて、根拠を明確にしておくと、外国人を単純労働者として雇用するわけではないと示すことができる。
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