ピコ太郎のつくりかた
ピコ太郎のつくりかた
ピコ太郎のつくりかた
出版社
出版日
2019年01月30日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

ピコ太郎の「PPAP」は、世界中でバズった動画だ。日本人で唯一、YouTube週間チャート世界第1位を獲得した。

みなさんの中にも「PPAP」を見たことがある人は多いだろう。しかし、なぜこれといったメッセージ性もないように思える「PPAP」が世界中でバズったのか、理解できない人もいるのではないだろうか。ジャスティン・ビーバーが運よくツイートしたことで拡散され、バズっただけではないかと。

だが実は、「PPAP」はジャスティンがツイートする前から世界各国で人気が出始めていた。ジャスティンのツイートはバズを起こす最後の一押しだったのだ。

「PPAP」のプロデューサーはお笑い芸人の古坂大魔王氏だ。本書では、著者がどのような考えを持って、いかにして「PPAP」をつくったのかが明かされる。

「PPAP」は何も考えずにつくられたように見える「くだらない」コンテンツだ。しかし著者は、こだわりを持ってつくった「くだらない」コンテンツだからこそ、グローバルにバズったのだという。

著者は音楽DJとしても活動しており、音楽に相当こだわりがある。そしてお笑い芸人として抜群の「間」の取り方を知っている。実はこうした要素が、「PPAP」の動画づくりに活きているのだ。本書で「PPAP」の制作背景を知れば知るほど、相当なこだわりを持って作られたコンテンツであると理解できるはずだ。

本書はコンテンツ論としてのみならず、仕事論としても読むことができる。ぜひ多くの人に手に取ってほしい。

著者

古坂 大魔王(こさか だいまおう)
1973年生まれ。お笑い芸人。お笑いトリオ「底ぬけAIR-LINE」としてデビュー。現在、古坂大魔王としてバラエティ番組に出演、コメンテーターとしても活躍している。また音楽活動も行っており、メジャーアーティストとのコラボ・楽曲提供を手がける。そして、世界的シンガーソングライター「ピコ太郎」のプロデューサーとして活躍の場を国内外へ広げている。

本書の要点

  • 要点
    1
    2016年9月28日、ジャスティン・ビーバーがピコ太郎の動画「PPAP」を拡散。動画が世界中でバズるきっかけとなった。
  • 要点
    2
    パッと見てわかりやすいものでないと、多くの人には伝わらない。しかし、何もこだわっていないものが当たることはない。実は「PPAP」には、多くのこだわりが詰まっている。
  • 要点
    3
    著者は、ブログ、ミクシィ、ニコニコ動画を遊び感覚、実験のつもりで活用していた。だからこそユーチューブの動画の波に乗れたのだ。

要約

スキマで生き残る

10万円で作られた「PPAP」
Cesare Ferrari/gettyimages

2016年9月28日、著者の人生に激変が起きた。ユーチューブにアップしていたピコ太郎の動画「PPAP」をジャスティン・ビーバーが「My favorite video on the internet(僕の好きなネット動画)」とツイート。全世界にいる1億人のフォロワーが一斉に「PPAP」の動画を見始め、バズが起きたのだ。

バズをきっかけに、CNNやBBC、そして世界中の報道機関が「PPAP」を紹介した。ピコ太郎は米ニューヨークの国連本部でPPAP「SDGs」verを披露し、ウガンダ共和国の大統領と会談、さらにはトランプ大統領と安倍首相との3ショットを撮影するなどグローバルに活動することとなった。

「PPAP」はわずか10万円で作られた動画だ。著者は20年にわたって、プロデューサー、テクノDJとして音楽を追求してきた。その集大成としてスタジオを借り、6時間で完成させたのが「PPAP」だった。

本書では、お笑い芸人として仕事を始めた著者がいかに「ピコ太郎」を作り、バズらせたのかが明かされる。

ニッチなジャンルで勝負する

青森市に生まれた著者は、ビートたけしにあこがれ、オリジナルコントを作って友達に披露する少年だった。チャンスが訪れたのは中学2年生のとき。山田邦子さんの「スター生たまご・邦子の今ドキ芸能界」という番組のオーディションが青森にやってきたのだ。番組でショートコントを披露したところ予選通過、さらには東京の大会収録で優勝することができた。高校に進学したのちもコントを作り続け、高校を卒業すると、お笑い芸人を目指して上京した。

渡辺正行さんが主催する「ラ・ママ新人コント大会」や「太田プロライブ」など、新人向けのお笑いライブにチャレンジする中で、芸能事務所からスカウトを受ける。そして19歳のとき、お笑いトリオ「底ぬけAIR-LINE」を結成した。

だが、東京でウケを取るのは容易ではなかった。同世代には、くりぃむしちゅーやネプチューンのような大物がひしめいていたからだ。トリオの仲間と話し合った結果、「音楽コント」というニッチなジャンルで勝負することにした。最新式のパソコンを購入し、音楽を研究。本物のドラムやシンセでバスドラムの重低音を録音し、ベースシンセを鳴らしてライブのオープニングテーマを自作していた。

本格的な音楽活動を開始したのもこのころだ。自分が作った音楽をベースにした音楽ライブを主催し、出演していた。

「くだらない」にこそ価値がある
Ridofranz/gettyimages

なぜ、「PPAP」は流行したのか。著者は、「意味がなくてくだらなかったから」と分析している。「PPAP」は、愛も恋も、戦争反対も、人生も語っていない。ただ、ペンとアッポーとパイナッポーを刺して並べただけだ。

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要約公開日 2019.03.26
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