プリンセス・マーケティング

「女性」の購買意欲をかき立てる7つの大原則
未読
プリンセス・マーケティング
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「女性」の購買意欲をかき立てる7つの大原則
未読
プリンセス・マーケティング
出版社
エムディエヌコーポレーション

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出版日
2019年05月01日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

女性と男性では、考え方や行動が異なる。このことをあからさまに語るのは、男女平等を目指すビジネスの現場では避けられてきたかもしれないが、権利としての平等を目指すことと性差に着目することは、別に考えるべきだと著者は述べる。

本書では女性向けのマーケティングを「プリンセス・マーケティング」と名付けて、女性の購買心理、購買行動を解き明かす。著者の第一作『ネットで「女性」に売る』の内容をさらに発展させ、「男性の求めるストーリーと女性の求めるストーリーの違い」を軸にして説明している。たとえば、男性の好むストーリーでは、仲間はともに戦い成長する存在であるが、女性の好むストーリーでは、仲間は主人公の内面をサポートする役割を担う。そのようにして考えると、顧客とコミュニケーションするにしても、効果的な関わり方が変わってくるのだ。

男性をモデルとして考えられてきた従来のマーケティングの常識を疑い、女性の心の動きについて考えていくことは、ビジネスに新たな可能性をもたらすことにつながるはずだ。とくに、すでに女性をターゲットとしたビジネスをしているのであれば、本書は大きなヒントを与えてくれるだろう。

平易な言葉でテンポよくまとめられた本書は、女性顧客を増やしたい、女性顧客とのコミュニケーションを円滑にしたいと考えるビジネスパーソンにとって、最適な入門書となるだろう。

ライター画像
池田明季哉

著者

谷本 理恵子(たにもと りえこ)
インターネット通販の運営責任者として、4社6年に渡りWebマーケティングの最前線で多様な実務を経験した後、ダイレクト出版認定セールスライターとなったことを機に独立。主に化粧品や健康食品メーカーからの依頼で「無理なくリピート購入されるメール」などCRM(顧客との関係性構築)に特化したライティングで圧倒的な実績を叩き出す。現在は、セミナーや講演、コンサルティングやオンラインサロンなどを通して、女性特有の購買心理を活用した効果的な文章やデザインの見せ方を伝えている。主な著書に『ネットで「女性」に売る 数字を上げる文章とデザインの基本法則』(エムディエヌコーポレーション)、『女性に「即決」される文章の作り方』(ぱる出版)などがある。株式会社グロースアップマーケティング代表取締役。

・株式会社グロースアップマーケティング
https://www.growup-marketing.co.jp

・Facebook
https://www.facebook.com/tanimotoyumizo

本書の要点

  • 要点
    1
    女性と男性では、購買心理や購買行動の傾向が大きく異なる。女性の心理を知ることで、女性にとってよりわかりやすくアクセスしやすい商品やサービスの提供が可能となる。
  • 要点
    2
    男性に好まれるストーリーは、仲間とともに古い秩序を打ち倒すことで世界を救い、他者からの賞賛を得るものだ。それに対して、女性は「本来の自分」を取り戻し、自己充足を得るストーリーを好む。
  • 要点
    3
    女性顧客の心を掴むには、「本来の自分」を取り戻すための「魔法」として、商品やサービスを見せることが重要だ。

要約

【必読ポイント!】女性と男性では求めるストーリーが違う

女性が感情移入するのは「プリンセス・ストーリー」
Dualororua/gettyimages

最初にお断りしておくと、実際の書籍にならって、要約でも説明の都合上「男性は」「女性は」と型にはめて解説しているが、これは傾向を表すものであって、すべての人に必ず当てはまるという意図ではないことをご留意いただきたい。

人の気持ちを動かすためによく用いられる手法に「ストーリー」がある。物語の中で「潜在的に抱えている問題」を自覚し、自然に、商品やサービスを「欲しい」気持ちになってもらうのだ。ストーリーには、その人が持っている「前提」を書き換える力がある。ただし、女性と男性では心を動かされるストーリーが異なる。

男性が心を動かされるのは、「ヒーロー物語」だ。平凡な主人公が仲間とともに試練をくぐり抜け成長し、古い秩序や価値観を壊して新しい秩序を打ち立てることで世界を救う。

一方、女性が感情移入するのは「プリンセス・ストーリー」である。それは、今いる場所に漠然とした違和感を持っている主人公が、「自分が本来、当然いるべき」と感じる「新しい世界」で生きるまでの個人的な旅だ。他人からの評価は不要であり、旅の目的は「自分らしさ」を取り戻し、「自己充足」することにあるのだ。

これをビジネスに応用するには、それぞれの主人公たちが「得たい結果」が「自分の商品やサービス」とイコール関係になるような「ストーリー」を提案するということになる。つまり、男性に対しては「客観的な評価」が得られること、女性に対しては「自己満足」が得られることに訴求していくことによって、売れる可能性が高くなる。

女性は自分を「プリンセス」だと信じている

シンデレラが一人掃除をしているとき「私は本来お城にいるべき」と思っているように、女性は「今の自分は、仮の姿だ」と信じている。男性からすれば、一度も経験したことのない理想的な状態が「本来の自分」という感覚は信じられないかもしれない。それほど、女性と男性は異なる現状認識を持っている。物語の前提となる「設定」がまったく違うのだ。

したがって、男性向けには問題解決のアプローチとして、今の悩みを自覚させ、「より能力が高くなるアイテム」や「目標達成への近道」を提供できれば良い。しかし、そもそも女性にとって悩みとは「本来の自分」を取り戻せば魔法のように一瞬で消え去ってしまう幻なので、「悩んでいるはずだ」という前提が通用しない。ゆえに、女性にアプローチするのであれば、女性が何を見れば「本来の自分らしさ」を感じられるのかを考えることが鍵になる。「不本意な現実」を生きている女性たちに、商品やサービスを使うことで「本来あるべき理想的な状態になることができますよ」と語りかけることが重要なのである。

登場人物の設定も異なる
Neil_Burton/gettyimages

男女がそれぞれ求めているストーリーの違いは、他の登場人物たちが果たす役割や行動にも影響する。男性の好むストーリーでは、主人公は次々と現れる試練を攻略しながら前進する。だからこそ、冒険をともにする仲間たちは戦いに貢献し成長することが求められる。一方で、女性の好むストーリーにおいて、仲間は一緒に戦うというよりも主人公の内面をサポートする役割を担う。なので、ミスを連発して足を引っ張るような小動物が仲間でもよいのだ。

したがって、女性顧客とのコミュニケーションの際には、顧客の抱く葛藤に共感し、試練を乗り越えるために必要な情報を提供することでサポートができないかという視点で考えよう。

それぞれの冒険の旅に出る「きっかけ」をつくる人物の役割にも違いがある。

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要約公開日 2019.07.25
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