コーヒーといえば、ドトールやスターバックスが日本のカフェ業界を牽引してきた。その他にもルノアールや珈琲館などが熾烈な競争を繰り広げているが、そこに参入したのがコンビニだ。たとえばセブンイレブンは「セブンカフェ」を展開し、1杯100円という破格の値段で淹れたてのコーヒーを提供している。ローソンでは「マチカフェ」、ファミリーマートでは「ファミマカフェ」がある。
なぜコンビニ各社がコーヒー市場に参入したかというと、コーヒーは単体の商品として利益率が高いことに加え、お客の「ついで買い」でデザートやサンドイッチによる儲けが見込めたからだ。また、コーヒー豆が供給過剰で価格が急落している背景もある。
カフェ業界自体は成熟産業で、品質などでの差別化は難しく、勝負を分けるのはサイドメニューであるといっていい。特にデザートは近年コンビニ各社が力を入れているジャンルで、このままだとカフェチェーンは食われてしまう可能性もあり、目が離せない。
競争に強い企業では、スピーディでひとひねりした価格のつけ方がされている。
著者が注目するユニクロ、無印良品、ハニーズ、しまむら、ニトリに共通するのは、プライスライン(価格帯)がとても狭いということだ。これにより、お客の「考えるコスト」を軽減している。価格がシンプルに1つか2つくらいに設定されていると、商品ごとに品質や価格を見比べて検討する必要がない。
さらに絶妙なのはその価格設定で、思わず商品に手が伸びる「値ごろ感」がある。こうした企業では、まず市場調査などの手法を使って消費者にとって値ごろ感のある価格を決め、その設定後に利益が出るように原価を逆算し、その範囲内で商品が作れるように調達先や加工方法を決める。これを「原価逆決め方式」と呼ぶ。なお、電力・ガス会社などでは必要なコストに一定の利益を乗せて価格を決める「原価積み上げ方式」が採用されている。
本格フレンチなのに居酒屋並みの値段で食べられるということで話題となった「俺のフレンチ」というチェーン店がある。普通のフランス料理店はせいぜいランチ1回転ディナー1回転だが、「俺のフレンチ」は夜だけで3.5回転するという。粗利が低くても客数が多いため赤字になりにくいのである。
「俺のフレンチ」の魅力は50~60%という高い原価率にある。一流店と同じ品質の肉が安く出されるのでお客が殺到したのだ。ただし同時に、一品料理主体の居酒屋スタイルのメニューなどの工夫で高い回転率を実現している。
同じ戦略をとっているのが回転寿司の「スシロー」だ。品質のいいネタを高原価率・低価格で提供することで、粗利は薄くても回転率を高めて高収益を確保している。こうした戦略は、最近ではプレミアムの牛丼店やファストフード店でも採用され始めている。
440円という格安ラーメンで支持を集めているのが「幸楽苑」だ。幸楽苑は、麺やチャーシューを
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