現代のビジネスパーソンの中には、「常に疲労感を感じており、集中力、注意力が散漫になっている」という悩みを抱えている人が少なくない。その要因のひとつとして、体にとって本当に必要な栄養素が不足し、不必要なものは過剰になる「現代型栄養失調」状態になっていることが挙げられる。コンビニやスーパーで買った出来合いの食品や加工食品は、便利で手軽というメリットがある一方、健康には悪い。毎日の忙しさに流され、栄養を蔑ろにしてしまっている人も、口にするものは全て自分への投資であると考え、意志を持って食品を選ぶようにしてほしい。
すぐに始めるべきは、ビタミン・ミネラルを積極的に摂取することだ。ビタミン・ミネラルといった基礎的な栄養素が不足すると、細胞の動きが制限され、生きていく力となるエネルギーの産生がうまくいかなくなってしまう。日々の生産性を向上させるためには、これらの栄養素の摂取が必須である。
体の調子が悪いときにはネガティブになるし、精神状態がよくないときは体に異変が起こりがちだ。こうした関係性は決して思い込みではない。現代型栄養失調は、生活習慣病だけでなく、うつ病などの心の病を発症する大きな原因のひとつになっているといわれている。
近年の研究では、うつ病を引き起こす主な原因は、脳内の神経伝達物質が不活性化することだとされている。例えば、幸せを感じるホルモンのセロトニンが不足すると、睡眠障害や不安感などが引き起こされやすくなる。
セロトニンの原料は、必須アミノ酸の一つである「トリプトファン」だ。必須アミノ酸は体内で必要量が生成できないため、肉、魚、豆類などといった食材からとる必要がある。そして、トリプトファンだけでなく、ビタミンや鉄、マグネシウムなど、6種類の異なる栄養素を摂取することで合成されると説明している。
糖質の摂取が多く、ビタミン・ミネラルが不足する現代型栄養失調の状態では、精神を安定させる神経伝達物質が不足してうつ状態に陥りやすくなってしまうのだ。
この数年、欧米の予防医学界が掲げている最大のテーマは「ビジネスパーソンの健康をいかに保つか」である。企業が社員一人ひとりの生産性を上げてサステイナブルな経営をしていくためには、「社員の体と心を健全化して、一人ひとりのパフォーマンスをアップしていくしかない」と気付き始めたのだ。社員の心身のコンディションを最適化することで、生産性が向上するだけでなく、うつ病や離職の防止にもつながる。
NASAによると、労働者の体と心の健全化のためには
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