優秀なリーダーに必要な要素、それは謙虚さだ。成功を収めるリーダーは、自らの利益を超えて、部下や従業員の能力や手腕を見抜く。企業が業績をあげるための条件は、「自分の利を超えて他者のことを考えられる」謙虚なリーダーがいることなのである。
「自分から動く部下」は、強権的なリーダーによる管理型マネジメントでは決して生まれない。リーダーがよくやる失敗は、ビジョンを示さずに、具体的な指示に終始してしまうことだ。たしかにいまできることを指示することも大切だが、優秀なリーダーの部下は指示されたことを実行するだけでなく、主体的に動き出すようになる。
自己啓発本や組織改革の本の多くは、成功者をロールモデルとして、「行動を変える」ように謳っているものが多い。これは「結果は行動で決まる」というシンプルな考え方に基づいている。この考え方はもっともに聞こえるが、「行動にのみ」焦点をあてると、実は問題が起きる。上司がパフォーマンスを上げるための行動を具体的に指示すると、多くの場合、部下はそれに反発を感じてしまう。また一時的に上手くいったとしても、その上司がいなくなった途端、元に戻ってしまうのがオチだ。
一方でマインドセットを変えると、自然に行動も変わってくる。ここでいうマインドセットとは、「物事をどう見ているか、人や環境、直面している問題、チャンス、責任といったものをどう捉えているか」を意味している。これが変化することによって、それぞれがその場に必要な行動を自分で考え、実行するようになる。
考え方が変化するからこそ、行動は変化する。1つ1つ指示されたタスクをこなすのではなく、自分からやるべきことを探し始める。しかもそれは、一時的なものではなく、継続的な変化だ。
マインドセットには、内向き思考と外向き思考の2つのタイプがある。
内向き思考とは、「自分のためになるかどうか」を判断基準とする思考であり、外向き思考とは「集団的成果が向上するかどうか」を判断基準とする思考だ。組織において、全員がそれぞれのニーズやチャンスを追い求めると、チームや事業全体の成功が達成できなくなる。つまり内向き思考でいると、組織やそこに属する人が行き詰まってしまう。一方で、外向き思考になればなるほど、組織が提供する価値は向上する。
本書では「1億ドルのコスト削減」をする必要がある会社と、その経営幹部についての例があげられている。当初、幹部たちは自分の担当部門を残すことを考え、コスト削減の負担は他の部門に負ってほしいと考えていた。まさに内向きの思考である。そうして、「(自分の部門以外での)大量の一時解雇」以外に、コスト削減の手段はないと捉えていた。
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