時代の変化に対応できる「強い会社」になるためには、人が自ら動く「環境」と「仕組み」をつくる必要がある。とはいえ、ビジネス誌や書籍で紹介されている他社の成功事例をそのまま実践しても、同じ効果が得られるわけではない。自社のビジネスモデルや、自社の強みであるコア・コンピタンスを十分に検討した上で、それに見合った仕組みや制度、施策を取り入れることが重要だ。
ここでいう「ビジネスモデル」とは、利益を生み出す製品やサービスに関する事業戦略と収益構造のこと。「コア・コンピタンス」とは、自社が競合他社と戦って勝つためのポイントのことだ。経営者や管理職は、自社のビジネスモデルを認識したうえで、市場や世の中の変化に合わせて自社のコア・コンピタンスをたえず分析し続けるべきだ。
その戦略は不変である必要はない。他社や時代の変化に柔軟に対応できるよう、組織の「仕組み・制度・施策」も進化させ続けよう。それが当たり前にできるような企業こそ、継続的、安定的に利益を生み出すことができる「強い会社」だ。
人が会社で本気になって働くためには何が必要だろうか。その回答として鍵になるのは、企業理念にもとづくミッションやビジョンを念頭に置いた2つの視点である。ひとつは、「会社が世の中に提供している価値に共感できるかどうか」、つまり社会からどのような支持や感謝を集めているのかという「社外規範」の視点である。もうひとつは、「会社の社風や求められる働き方に共感できるか」、つまり社内で大事にしている行動や考え方である「社内規範」の視点だ。
社外規範への共感は、自分の仕事が世の中のためになっているという実感によって生まれる。会社の事業に社会的価値を感じられ、自分がその事業が好きで、納得して取り組めている状態だ。
一方「社内規範」は、社内で理想とされる行動や考え方、つまり行動指針である。組織の行動指針に納得できることが、その会社に対する愛着や居心地のよさにつながる。
3,400冊以上の要約が楽しめる