ビジネスチャット時短革命

メールは時間泥棒 メールを48.6%も減らす働き方
未読
ビジネスチャット時短革命
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ビジネスチャット時短革命
出版社
インプレス

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出版日
2020年03月21日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「社内メールはやめるべきだ」。この言葉が、マイクロソフト社で業務執行役員を務め、1日に700件以上のメールを処理してきた著者の主張だと聞くと驚くだろうか。著者はあるとき、大量のメールを処理することで満足感を得てはいけないと奮い立った。そして、ビジネスチャットとオンライン会議のツールを中心とした仕事に切り替えたという。起業後は529社の働き方改革の支援を行い、自身も「週休3日、週30時間労働」を実践している。

そんな生産性アップのプロによって書かれた本書は、タイトルにあるとおり「時短革命」をもたらしてくれる。迅速な対応が求められる現代においては、メールでなくビジネスチャットが必要だというのだ。

ではビジネスチャットを導入する前に確認すべきポイントは何か? 代表的なビジネスチャットツールとその特徴とは? 本書ではこうした疑問を解消できるよう、詳しい解説がなされている。そして、プレゼンス(在席情報)の活用、チャットマナーなど、導入後に効果的にビジネスチャットを活用するためのポイントも満載だ。また、オンライン会議ツールの検討基準や活用方法、トラブル対処法も紹介されている。こうしたツールを社内に浸透させれば、コロナ禍の現在、そして自然災害などの緊急時に大いに役立つはずだ。

Slack、Teams、Chatworkなど、ビジネスチャットツール導入の入門書にピッタリな一冊だ。すでに利用している方には、生産性やチーム力を向上させるための教科書として、本書をフル活用していただきたい。

ライター画像
木下隆志

著者

越川慎司(こしかわ しんじ)
株式会社クロスリバー 代表取締役社長/株式会社キャスター 執行役員
国内外の通信会社、WebExを経て、2005年に米マイクロソフト本社に入社。日本マイクロソフトに転籍後、Officeビジネスの担当役員を務める。2017年に株式会社クロスリバーを設立し、ITをフル活用してメンバー全員がリモートワーク週休3日を3年以上継続。延べ529社に対して、ムダな時間を削減し社員の働きがいを上げながら利益を上げていく「儲け方改革」の実行を支援。2018年から700名以上がリモートワークの株式会社キャスター執行役員と兼任。著書に『新しい働き方』(講談社)、『働きアリからの脱出』(集英社)、『謝罪の極意』(小学館)、『超・時短術』(日経BP)、『科学的に正しいずるい資料作成術』(かんき出版)。

本書の要点

  • 要点
    1
    チームの生産性を上げるには、迅速なレスポンス、チームでの情報共有の効率化を実現できるビジネスチャットの導入がカギとなる。
  • 要点
    2
    ビジネスチャットの導入によるメリットは、タイピング時間の削減、誤送信の防止、メール量の削減である。
  • 要点
    3
    自社に最適なビジネスチャットを選ぶ際には、ビジネスチャットで実現したいこと、解決したい業務課題を考えるとよい。
  • 要点
    4
    コミュニケーションのスピードと質を高めるためには、オンライン会議も導入するのが望ましい。

要約

ビジネスチャットこそが時短実現のカギ

メールは時間泥棒

業務において1日に何件のメールを受信しているだろうか。著者のクロスリバー社が28000人のビジネスパーソンに調査したところ、1日のメール受信数は平均38.5件であった。この数字は前年に比べて8.3%も増え、年々増加している。

また、社員500人以上の企業28社の調査では、メールの閲覧・送信に1日平均で2.8時間(内1.8時間が社内用)がかかっていることが明らかとなった。さらには、ビジネスチャットを導入していない71社では、メールソフト上で添付ファイルを探すことに毎週61分もかかっていた。しかも、「この情報を持っている人は誰か」といった人探しをメールソフト上で行い、週に平均43分が費やされていた。年間に換算すると、合計で90時間も何かをメールソフト上で探していたことになる。

顧客のニーズが多様化して迅速な対応が求められる現代では、個人よりも「チームの生産性」を上げていく必要がある。そのため、ビジネスチャットを導入し、迅速なレスポンス、チームでの情報共有の効率化をめざす企業が増えているのだ。

ビジネスチャット導入のメリット
fizkes/gettyimages

ビジネスチャットを導入することで、得られるメリットは次の3つである。

1つ目はタイピングの時間が減ることだ。堅苦しい挨拶なしで、「今ちょっといいですか?」というように、気軽にコミュニケーションを始められる。

2つ目は誤送信の防止である。「社内の鈴木さんに送ったと思っていたら、社外の鈴木さんに送っていた」といった誤送信の経験はないだろうか。チャットでは一度グループを作っておけば、間違って無関係な人にメッセージを送ってしまうことはない。

3つ目はメール量の削減だ。メールだと、過剰な気づかいによってCCに宛先を増やし、メールスレッドも長くなりがちである。これに対し、ビジネスチャットを導入した16社では、社内メールの送受信数は平均で35%減り、全体の労働時間も18%削減された。

ビジネスチャットを導入する前に

ビジネスチャットを選ぶポイント
Chinnapong/gettyimages

Slack、Teams、Chatworkなど、ビジネスチャットにはさまざまなツールがある。どれを選ぶべきか迷うかもしれない。そこで、ビジネスチャットを導入する前に確認すべき7つのポイントを紹介しよう。

1つ目は費用・予算を確保できるかどうか。無料版があるなら、まずはそれを小規模グループで使ってみよう。効果を確かめてから有料版を導入するとよいだろう。

2つ目はグループウェアとの連携ができるかどうかだ。Office 365、Gmailなど、現在社内でメールやスケジュールに使っているソフトやサービスを確認する。そして、それらと連携できるビジネスチャットツールを選択しよう。

3つ目は外部とやりとりを行うかどうか。ビジネスチャットを社内だけで使うのか、顧客や取引先も交えてチャットや共同作業を行うのかどうかを確かめよう。外部のやりとりが必要な場合は、ビジネスチャットツールに外部アクセス(ゲストユーザー)機能があるかを調べておくとよい。

4つ目はオンライン会議を利用するかどうかだ。ビジネスチャット導入時には、オンライン会議もあわせて利用を検討するとよい。すでに使っているサービスがあれば、そのサービスと連携できるチャットツールを使う。新たに導入する場合は、オンライン会議機能が備わったビジネスチャットツールを選んだ方がよい。

5つ目は利用者のITスキルが高いかどうか。ビジネスチャットは多くの社員が利用するものであるため、利用者のITスキルに配慮しなければならない。利用者のITスキルに合った、UI(表示画面や操作方法)、UX(使い勝手)を考慮してツールを選定しよう。

6つ目は共同作業の内容はどうか。ビジネスチャットを使ってどのような作業を行いたいのかを洗い出しておきたい。共有したファイルを複数人で共同編集する場合は、メールの添付ファイルを扱う手間を減らして、スマートな共同作業ができるツールを選ぶようにしたい。

7つ目はセキュリティポリシーに準じているかどうかだ。外部とのファイルの共有を認めてよいか、認証は多要素でないとダメかといったことを確認しよう。

自社に合ったチャットツールはどれ?

自社に最適なビジネスチャットツールを選ぶ上で大切なことは、ビジネスチャットで実現したいこと、解決したい業務課題を考慮することである。本要約では、代表的なツールとして次の3つを紹介する。

1つ目は「Slack」だ。ビジネスチャットの草分けといえるツールで、「チャンネル」という形でテーマごとに、会話を分けて管理できる。社内で部門を越えた複数のプロジェクトを管理したい企業向けだ。豊富な絵文字が使えることも、感情の共有、カジュアルな会話を促してくれる。また、連携できる外部アプリは1000を越え、拡張性と自由度が高いのもslackの特徴だ。

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要約公開日 2020.06.04
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