最初に実感できるメリットは、やはり通勤時間がゼロになることではないだろうか。特に首都圏で満員電車に揺られて通勤していた人にとっては、そのストレスから解放されるメリットは大きい。
また、休憩時間の使い方の幅が広がるのも大きなメリットだ。考えが行き詰まったときなど、家だからこそできるちょっとしたことを済ませて、気持ちを切り替え、仕事の効率を上げていける。逆に、仕事をし続けようと思えばできてしまうので、意識的に休憩をとることも必要である。
もちろん、ワークライフバランスを取るうえでもテレワークは効果的だ。育児や介護などの事情でフルに働けなくなったときなどでも、テレワークで仕事を続けられないか、できるかぎり検討してみるとよいだろう。
最大のデメリットは、自宅には誘惑が多いということだ。途中まで観ていたテレビ番組、動画、趣味のもの。また、怠けたい気持ちや睡魔との戦いもある。人の目があるオフィスでは耐えられていた誘惑に、つい負けてしまうことがあるだろう。
人との関係におけるデメリットといえば、やはり情報交換がしにくいという点がある。逆にいうと、このデメリットを乗り越えて、離れている人ともうまく情報交換や情報共有ができる人材が、これからの時代に求められる人材といえるだろう。
また、人と話すことが極端に少なくなる場合、メンバーのメンタル不調に気づきにくくなることもあるので注意が必要だ。そのようなことがないように、自分自身のコンディションや他のメンバーの様子に意識を向けるようにしたい。
さらには、上司から見えないところで、自分はどう評価されているのだろうかと不安になることもあるだろう。テレワークには、仕事の成果を上手にアピールするテクニックも必要になってくる。
テレワークでチームから離れて仕事をしていると、個々のゴールを達成することに目がいきがちになる。それにより、仕事の目的や理由が見えにくくなってしまう。同様に、一人で仕事をしていると、目の前の作業に目が行き、視野が狭くなって長期的な視点で物事を見られなくなる傾向がある。
こうした傾向を避けるために、チームでその仕事の目的(何のためにやるのか)とゴール(それが達成されるとどうなるのか、何が得られるのか、数値的なことも含め)を日ごろから話し合っておくことが大切である。そのうえで、自分がチームに対してどんな貢献ができるのかという「貢献ポイント」を明確にしておくのである。これはテレワークのマネジメントにおいても重要だ。
セルフマネジメントはどんなビジネスパーソンにも求められるものだが、特にテレワークの環境下ではますます重要になってくる。
人は、やりたくない仕事を渋々していると、なかなか集中ができない。そんなときは、「この仕事をしないようにするには、どうしたらよいか?」といった課題として捉えるとよい。そうすると、気持ちが不快から快に切り替わり、改善意欲が上がる。
また、自分のありたい姿を常にもつことも、セルフマネジメントにつながる。将来の起業、やりたい仕事など、「個人としてやりたいこと」を具体的にイメージしてみよう。そして、それと現在の「組織としてやるべきこと」を重ね合わせ、重なりの大きい仕事にウェイトをかけていく。これにより、いまやるべきことと、今後のやりたいことをつなげていけるようになる。
セルフマネジメントの基本は、自身の状態を客観的に観察することである。職場であれば、誰かが声をかけたり、気にかけてくれたりするかもしれない。だが、一人で仕事をしていると、それは難しい。
そこで、1時間に1度くらいは、身体の状態、心の状態、頭の状態を意識的にモニタリングすることを著者はおすすめする。身体でいえば、同じ姿勢ばかりとっていないか、運動不足になっていないか。心でいえば、気持ちが乗っているかどうか、仕事に追い込まれていないか。頭でいえば、考えが凝り固まっていないかという点だ。
バランスが崩れているところを見つけたら、いったんパソコンから離れて自分をリセットする時間を持つとよい。
仕事のオンとオフの切り替えや、集中が必要なときなど、節々で「仕事のルーティーン(習慣的な動作や手続き)」を持つことも、セルフマネジメントに有効である。
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