「物事は順番に話せ」「起承転結で話せ」と、学校で習った方も多いだろう。しかしコンサルティング業界では、報告書、メール、メモ書き、上司への連絡に至るまで、「結論から話す」ように徹底される。なぜなら結論から話したほうが、物事がシンプルで明確になり、短い時間で相手に必要なことを伝えられるからである。
結論から話す技法として、「PREP法」というものがある。PはPoint(結論)、RはReason(理由づけ)、EはExample(具体例)、2つ目のPはPointの繰り返しを意味する。
普段からPREPの型を思い浮かべて、頭の中で整理しよう。そして結論から話すのである。著者は新人時代、「質問に対して取り繕うように答えなくていい。5分考えてからでいいので、頭を整理して答えなさい」と上司から指導を受けた。それ以来、言葉が詰まる質問を受けたときは、「1、2分考える時間をください」と言ってから、黙って考えている。「頭を整理し、結論から話す」ことを徹底しているのである。
コンサルティング会社には標語が多い。それが新人の行動指針になっていることもある。「トーク・ストレート」もその一つだ。トーク・ストレートとは、「端的・簡潔・素直に話す」という意味である。変な駆け引きをせず、言い訳をせず、言われたことにきちんと答える。
「あの資料はできた?」と上司に質問されたとき、資料が未完成だったら、どう答えるだろうか。そういう質問を受けるときは、往々にして作業が遅れているものだ。そのため、ついつい言い訳から入ってしまいがちである。
しかしいまの著者なら、素直に「まだできていません」と答える。叱られるかもしれないが、それも承知の上である。というのも、上司が知りたいのは「完成したのか、していないのか」という事実だからだ。未完成なら、その原因を知りたいはずである。
相手の質問に対してストレートに答えれば、自然にコミュニケーションが取れるし、問題の所在も明らかになる。そうすれば相手としても、その先の「なぜ?」や「どうして?」を聞きやすい。
質問に対しては、まずイエスなりノーなりで端的に答えて、それから追加の説明をしたり、相手の質問に答えたりしていくべきである。
コンサルタントは1年目であっても、30代後半〜40代で経験豊富なクライアントと話すことが多い。しかし1年目の社員なのに、どうしてそんなことができるのか。
その秘訣は、「動かしようのない事実」を語っていることにある。この事実の最たるものが「数字」だ。それも難しい数字ではなく、売上、出荷個数、コスト、利益率などの単純な数字である。
たとえば街角で、調査員がカウンターを持って数えている数字がある。このような、新聞にもネットにもないデータこそが有効だ。おかしいと思ったら、まず事実を集めて数字にする。数字こそが一年目の武器になるのだ。
「どうしたら常に評価と信頼を得られて、次にも仕事がくるようになるのか?」、「ビジネスをするうえで一番大事なものとは何だろうか?」――こうした質問を、著者は多くのコンサルタントに投げかけた。その答えは全員一致で、「相手の期待を超え続けること」だった。
3,400冊以上の要約が楽しめる