課長の心得

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出版社
総合法令出版

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出版日
2017年05月03日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

いつの時代も上からのプレッシャーと下からの突き上げに悩まされる、悲しき中間管理職「課長」。かつては「目標」であり「憧れ」のポジションであったが、いまや「課長になりたくない」と口にする人が増えているのだという。そんな「課長受難の時代」に、講師・コンサルタントとして数々の大手企業の経営者育成やマネジメント研修を行ってきた著者が、「課長の心得」について解説したのが本書である。

かつてないほどに変化が激しい現代、課長はさらなるマネジメント能力が求められ、苦しい立場に立たされている。しかしながら、現場の実行部隊のリーダーである課長は、おもしろく楽しい時期でもある。本書は、そんな課長の役割について、単なる理想像を描くだけでなく、「こう考えたら楽になる」「こうしたらおもしろくなる」という視点から、実践的なヒントを提供してくれる。そして、「自分らしさ」を活かして役割を果たそうと後押ししてくれるのだ。責任が重く、大変そうな課長の仕事に尻込みしていた人でも、本書を読めば「やってみたい」と思えるようになるかもしれない。

現在課長である人だけでなく、これから課長になろうとする人にとっても、本書のヒントは大いに参考になることだろう。理想の課長像は一つだけではない。本書を通じて、自分なりの「課長の心得」について考えてみてはいかがだろうか。

ライター画像
木下隆志

著者

安部哲也(あべ てつや)
EQパートナーズ株式会社代表取締役社長
立教大学大学院ビジネススクール(MBA)教授
聖心女子大学国際交流学科非常勤講師
福岡県生まれ。修猷館高校卒業、中央大学法学部卒業。オーストラリアBOND大学大学院経営管理学修士課程(MBA)修了。松下電器産業(現パナソニック)入社後、国内・海外部門にて、営業・マーケティング、企画を担当、海外(香港)駐在を経験後に独立。
企業・大学向け教育・コンサルティング会社EQパートナーズを設立し、代表取締役社長となる。講師・コンサルタントとして、NTT、NEC、東芝、花王、カシオ、伊藤忠商事、損保ジャパン日本興亜などをはじめとする企業の次世代経営者育成、事業部長・部課長・主任向けにリーダーシップ、マネジメント研修を多数実施。経営実務経験とアカデミック分野の双方をベースとしたインタラクティブな研修、ワークショップを日本語と英語で行う。また、立教大学大学院ビジネススクール教授として、リーダーシップ論、起業家マインドとスキル、ビジネス交渉、修士論文(ビジネスプラン)の指導などを行う。さらに私塾「志塾(こころざしじゅく)」を主宰し、学生、社会人の育成に取り組む。主な著書に、『ワールドクラスリーダーシップ』(同友館)などがある。英語による著書は、“World-class Leadership"(World Scientific)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    最初の管理職である課長は、責任と権限が増す難しい立場であるが、同時にやりがいも大きくおもしろいポジションでもある。
  • 要点
    2
    課長が最初に行うべきマネジメントは目標設定だ。「SMART」のキーワードを意識し、メンバーを巻き込みながら、課の目標を設定しよう。
  • 要点
    3
    「攻め」のマインドでリーダーシップ力を発揮し、社内外の変化に対応できるよう、チームに変革をもたらそう。
  • 要点
    4
    社長や部長などの上司を「リソース」として課のために積極的に活用するために、課長にはフォロワーシップ力が必要だ。

要約

課長とは何か?

課長に求められるマインド、スキル、時間配分
oatawa/gettyimages

現場のチームを直接マネジメントする課長は、最初の管理職だ。予算・計画・人事評価などの権限が与えられ、課を運営する責任を担う。

「リーダーシップ・パイプライン」の考え方にのっとれば、役職によって必要な職務要件は変化し、ふさわしいマインド、スキル、時間配分が求められる。

課長はまず、従業員を管理する「管理者」としての立場に変化したことを自覚し、経営サイドの意向を理解して課を運営していくマインドが求められる。そして、課長は実務についての「テクニカル・スキル」以上に、課や部下の目標設定・動機付け・人材育成を行う「ヒューマンスキル」の強化と実践を意識することが望ましい。さらに経営者層になっていく未来を見据えた場合、方針を決めたり戦略を立てたりする「コンセプチュアル・スキル」も磨いておくとよいだろう。「実務は極力、課員が行うものである」という割り切りも必要だ。担当業務に時間を使うのではなく、課のマネジメントと人材育成を中心とした時間配分に切り替えていかなければならない。

課長には中間管理職ならではの辛さと同時に、多様な部下を直接動かしながら大きな仕事ができる面白さがある。この役職を楽しみながら、ぜひ自己成長につなげていってほしい。

【必読ポイント!】 管理・運営を行う「マネジメント力」

課長に求められるマネジメント力
hh5800/gettyimages

マネジメントで最初にやるべきなのは目標設定だ。価値があることを成し遂げるには、具体的で明確な目標設定が不可欠だ。会社の「経営理念」を基軸として、「部の目標」をブレークダウンしていったものが「課の目標」になる。この目標は、「課長の目標」にならないよう、できるだけメンバー全員を巻き込んで「課全員の目標」になるようにしたい。

そのうえで、課のメンバーのそれぞれの目標設定を行う場合は、「SMART」というキーワードが参考になる。SMARTとは目標設定のポイントとなるキーワード、「S(Specific)」「M(Measurable)」「A(Attractive)」「R(Realistic)」「T(Time Bound)」の頭文字をとったものである。

目標はまず、具体的(Specific)でなければならない。「ただ単にがんばる」というのではなく、どの商品、サービスの何を目標にするかを明確かつ具体的にする。

次に、目標は測定可能(Measurable)である必要がある。営業部門の売上目標はもちろん、経理部門のような間接部門であっても「決算報告の作成時間を3週間から2週間へ短縮する」といった数値目標を持つことができるはずだ。

そして、目標達成が本人にとっても魅力的(Attractive)であることが望ましい。人は基本的に自分にメリットがあるかどうかを考えるものだ。本人がワクワクできるようにしたり、社会の役に立つことを伝えるようにしたりすると効果的だ。また、理想的な目標とは、挑戦的でありつつも実現可能(Realistic)なものだ。高すぎる目標は本人のやる気を削いでしまう。部下の実力ややる気を見ながら、本人が少し努力したり能力をあげたりすることで実現できるような目標設定をすべきだ。

最後に、年度目標や中期目標を立てるなどして、目標に時間軸(Time Bound)をもたせた方がよい。一定間隔でマイルストーンを設定して、定期的にチェック&アクションをすることをお勧めしたい。

課のPDCAサイクルを回す

Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Action(対策)からなるPDCAサイクルはマネジメントの基本である。しかし、実際に「PDCAを回せている」と自信を持って言える人はまだ少ないのが現状だ。

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要約公開日 2020.10.10
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