THIS IS MARKETING

You Can’t Be Seen Until You Learn to See
未読
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THIS IS MARKETING
出版社
出版日
2020年07月22日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「この商品はあなたのために作ったものではありません」

目の前の顧客が商品に関心を持ち始めているとき、そんな言葉を口にできる人は少ないだろう。しかし顧客の願いが商品を通じて叶えられないとわかっているなら、その言葉は顧客への最大の敬意となる。プロダクトやサービスを市場に出す前に、それが誰のためであるかを問い、ターゲットとなる層が望む変化を起こせたかどうかを、マーケターは常に意識しておく必要がある。

新しいサービスの販売が決まったとき、サービスのよさを多くの人に知ってもらうことがスタート地点となる。どの媒体で広告を出すのか、主催イベントを開催するのか、キャンペーンを打ち出すのかなど、ターゲット層にアプローチする方法はさまざまだ。サービスを受けた後の顧客の感情を心地よいものに導けているなら、そのアプローチ方法は適切だったのかもしれない。だがマーケターはなによりも、「顧客はサービスが欲しいと思って手にしているが、実はその先の感情を望んでいる」という事実に気づき、そこに頭を使うべきだ。

たとえ広告の効果が出なかったとしても個人のせいにせず、「マーケティングはプロセスであり技術という事実と向き合い、自分にしかできない変化をおこす勇気をもってほしい」という著者のメッセージは、多くの人の背中を押してくれるに違いない。顧客にとって最適なサービスは何か、常に問う姿勢を持ち続けたいと思わされた一冊だ。

ライター画像
光野美香

著者

セス・ゴーディン(Seth Godin)
今、もっとも影響力のある作家、ブロガー。
altMBA、Squidoo、Yoyodyneの創始者。元Yahoo! 副社長、Marketing Hall of Fameのメンバー。運営するaltMBAでは、リーダーのレベルを上げるための1カ月のワークショップを行う。毎日更新されるSETH’S BLOGは、数百万人に読まれ、世界でもっとも人気のあるブログの1つになっている。著書に『パーミッション・マーケティング』(海と月社)、『「紫の牛」を売れ!』『オマケつき! マーケティング』(ダイヤモンド社)、『トライブ 新しい“組織”の未来形』(講談社)、『ダメなら、さっさとやめなさい!――No.1になるための成功法則』(マガジンハウス)、『「新しい働き方」ができる人の時代』(三笠書房)、『「見えてる人」になるたった1つの法則』(実業之日本社)などがある。18冊の著書はベストセラーになり、35カ国語以上に翻訳されている。本書は、TheMarketingSeminar.comのサイトがもとになっている。

本書の要点

  • 要点
    1
    商品をつくるときは、成長可能な市場における“根っこ(エクストリーム)にいる人たち”を探し、彼らの望みをかなえることに集中すべきだ。
  • 要点
    2
    変化を起こすマーケターは、顧客に「取り残されるかもしれない」という緊張を与え、顧客に選択を迫る。
  • 要点
    3
    商品を市場に持ち込むとき、ターゲットとする顧客が意識するステータスやどのような信念にもとづくタイプなのかを見極め、その商品が果たす役割を考えるべきだ。
  • 要点
    4
    価格はマーケティングツールであり、商品のターゲット層に見合う価格にする必要がある。

要約

これからのマーケティング

市場主導へ舵を切れ
canbedone/gettyimages

ハーバード・ビジネススクールのマーケティングの教授、セオドア・レヴィッドは「人は4分の1インチのドリルが欲しいのではなく、4分の1インチの穴がほしいのだ」という言葉を残した。あくまでもドリルは目標達成のために必要な道具であり、欲しいのは「ドリルによってできた穴」だという。しかし厳密には穴ではなく、壁に穴をあけた後に取り付ける棚であり、その棚によってもたらされる清潔感や安心感が、顧客は欲しいのだ。

商品は、受け手が一番望んでいた感情を得るための、単なる一手段でしかない。マーケティングとは、問題解決の手伝いをすることであり、よりよい社会へと導く行為でもある。ゆえに、しつこい営業に見られる「売り込み主導」では成長は見込めない。私たちは、市場の声を聞く「市場主導」へと舵をきるべきである。大切なのは、顧客たちの希望や夢について考え、彼らの不満に耳を傾け、改善できるものに投資することである。

成功するマーケターになるには

誰のための商品か

マーケターが発信する多くのメッセージには、「お客様がXをすれば、Yが手に入ります」という約束が隠されている。それは保証というよりも、「これが成功したら、きっとあなたはこうなるはずです」といった類のものだ。たとえば「こだわるママはジフのピーナッツバターを選ぶ」というジフ社の宣伝文句は、ステータスの憧れと承認欲を刺激する約束だといえる。顧客との約束はマーケターが望む変化に直結するため、常に「誰のため?」という問いを大切にすべきだ。

ダンキンドーナッツとスターバックスは、どちらもコーヒーを売っている。だが設立から20年間、スターバックスはダンキンドーナツの客にコーヒーを売っておらず、その逆もしかりである。なぜならスターバックスのターゲットは、コーヒーや時間、お金やコミュニティといったところにゆるぎない信念を持った人たちであり、彼らに特化したブランドづくりをしてきたからだ。

市場を絞り、顧客に集中する
ronstik/gettyimages

平均的な一般大衆をターゲットにすると、商品の妥協と一般化が必要になってしまう。そのため、まずは成長可能性のある小さな市場の開拓から始めるべきだ。プロジェクトや組織を最小限に凝縮し、体系化する。そして自社のビジネスが生き残れる最小の市場を考え、その市場で注目を待つ“根っこ(エクストリーム)にいる人たち”を見つけ、彼らの求める完璧な答えになるポジションを探し、彼らの望みをかなえるのだ。

起業家のスティーブン・ブランクはスタートアップ企業の唯一のプロジェクトとして、「顧客に集中すること」をかかげている。それは顧客を惹きつけ、顧客が望むものと商品をぴったり合わせる行為を指す。

成長が見込まれる小さな市場において、マーケターたちの役割は、連れていきたい場所にほれ込む人たちを探すことだ。ターゲットではない顧客からの関心につけこまず、「あなたのためのものではありません」と断る意志を持つことは、顧客への敬意となる。重要なのは、プロダクトやサービスのストーリーをもっとも必要としている人たちを変えたかどうかなのだ。

マーケティングの3つの約束

あるコメディアンは、ニューヨークで行われるライブショーに向けて最高のネタを用意したが、誰ひとり笑わなかったことに落ち込んだ。しかし後に、

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要約公開日 2020.12.19
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