誰しも「自分にメリットがある」選択をしたいと思って行動している。しかし、本当にそれにメリットがあるのかどうかが定かではなくても、人間の脳は、一度選択した行動を正当化しようとする。さらには、損をする選択自体を「正しい」と思い込み、その選択を繰り返していく。「頑張っているのに望む結果が得られない」「なぜか毎日に充実感がない」。こうした「モヤモヤ」も実はこのメカニズムに関係している。
例えば、次のようなことを「正しい」と思い込んでいないだろうか。家族のために一生懸命働くことは素晴らしいことだ。夢や目標が叶ったら幸せになれる。嫌なことがあっても常にポジティブでいることが大切だ。
実はこれらは、私たちを苦しめ、損をさせている可能性がある。本書では、お金、結婚、人間関係、仕事の問題を中心に、幸せにまつわる思い込みの誤りを、科学的な裏付けをもとにして明らかにしていく。
お金がすべてではないとよくいわれるが、はたして本当だろうか。実のところ、お金は私たちを幸せにしてくれるということが、科学的にも証明されている。ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン教授は、「人は収入が増えれば増えるほど幸せになる」と述べている。
ただし、それが成立する限界は、年収800万円だという。800万円付近を境に、それ以上収入が増えても幸福度はほぼ変わらない。また年収が2倍になっても、幸福度は9%しか上昇しないというデータもある。では、お金を通して幸福度を高めるにはどうしたらよいのか。
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