世の中には客観的には恵まれているのに、慢性的に不幸な人がいる。そうした人は、ちょっと見方を変えるだけで幸せになれることも多いのだが、その「ちょっと」ができない。その原因は、ドイツの著名な精神科医カレン・ホルナイのいうところの「内なる障害(inner obstacle)」にある。その人の無意識に「内なる障害」があるがゆえに、頭の切り替えができないのだ。この本の目的は、「内なる障害」を乗り越えることにある。
意識レベルでは「苦しみたくない」と思っていても、無意識レベルでは苦しみにしがみついている人はとても多い。苦しんでいる当事者はなかなかそれを認めることができない。まずはこのことに気づかないといけないのだ。
多くの人は、それにふさわしい努力をしないまま、ただ「幸せになりたい」と思っている。それは煙を避けて焚火にあたりたいというようなものだ。要求が非現実的で自己中心的なのである。
無意識の世界では「自分の心の葛藤から逃げようとしている」のだと自覚し、自分が苦しみに固執している理由を考え、真の心の葛藤に向き合うことができれば、人生は変わり始める。
人生は幸せになるようにプログラムされてはいない。しかし、そんな錯覚を抱いている人が多い。わがまま放題で自己中心的な人生を送ってきたそんな人たちは、「人生は幸せになるようにプログラムされているのではない」という現実を受け入れて努力してきた人たちの人生と自分の人生とを比較し、失望を感じる。人はそれぞれ違った運命を背負って生まれてくるものだ。自分の運命を生きることが、自分の人生を生きることである。
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