2020年初めに起きた「コロナショック」により、すでに世界の姿は大きく変容している。今後も「有事が平時」の時代となる。そうした時代では、この「変容(トランスフォーメーション)」の考え方がますます重要な意味をもつ。不連続な変化が起きる社会では、過去にとらわれずに柔軟に変容する能力が、個人にとっても会社にとっても重要だ。
そもそも現代の日本企業の形は、戦後復興のなかで形成されてきたものだ。現場主義を尊重し、絶えざる改善を繰り返しながら、高品質なモノづくりを強みとしてきた。大量生産の経済のもとでは、新卒採用・年功序列制をベースとした同質的かつ固定的な組織構造やメンバーシップ雇用などの日本企業の慣行はフィットしていた。だが、現在はどうだろうか。デジタル時代が到来し、ハードからソフトへとメインストリームが移行した。企業に求められる意思決定のスピードも、これまでとは比較にならないほど速くなっている。
しかしながら日本企業は、金融危機や自然災害によるカタストロフィにおいても、「応急処置で止血をしておこう」というような近視眼的な選択をしてきた。そこには「今の危機は一時的な不景気のせい」という甘えがあった。
有事のときには、組織のリーダーにもトランスフォーメーションが求められる。大変革の時代は「リーダーの時代」とも言い換えられるだろう。これまで日本では、トップダウン型のリーダーは独裁者などと揶揄され、敬遠される傾向にあった。だが、トップの意思決定は、「独断」であって然るべきである。
3,400冊以上の要約が楽しめる