これまでの経歴の中で、著者は革命的なアイデアで時代を切り開いてきた天才たちを多く見てきた。そのアイデアは、数十年先の未来へタイムスリップして、未来社会を見てきたとしか思えないものであった。本書は、このように日常感覚の世界を飛び越えたような比類なき思考を「クオンタム思考」と呼ぶ。
クオンタム思考に基づいて行動していると思われる天才を3人紹介する。ポケモンGOを開発したジョン・ハンケ、グーグルを創業したラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンだ。
ジョン・ハンケはグーグル内で地図チームの中心人物であり続けた。グーグル・アース、グーグル・マップ、グーグル・ストリートなどグーグルを代表する地図サービスを創り出し、グーグル独立後にはポケモンGOを生み出した。地図は「見るため・目的地に行くためのツール」という従来の概念を打ち破り、視点を宇宙に引き上げ、地球や月面の衛星写真を見られるサービスまでもリリースした。地図とゲームを融合させたスマホゲーム「イングレス」、そして「ポケモンGO」もジョンが創設した「ナイアンティック・ラボ」から生まれた。
グーグル創業者のラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンは2003年に著者と最初に出会った時に「PCの前に座った瞬間に、その人が知りたい情報が画面にパッと出てくる世界をつくりたい」と語ったという。ヤフーのトップページの目次からクリックを繰り返して、やっと目的の情報にたどり着く、そんな時代にだ。当時から、キーボードも操作せずに、知りたいことが瞬時に表示される情報検索の究極の実現を目指していたのである。このような日常感覚を超えた発想やアイデアに導く思考こそ、「クオンタム思考」だ。
クオンタム思考は意識的につくり上げられた「フレーム・オブ・リファレンス」、直訳すれば「知の参照体系」を土台として築かれる。
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