天才とは、自らの天才性を知り、その天才性に忠実に生きている人である。天才性とは、個人が生まれながらに授かっている、他者と全く異なる特性のことで、個性や才能とは異なる。天才性は個人に特有のもので、1つとして同じものはない。
社会は今、変化のうねりのただ中にある。時代のパラダイムは平成の「オペレーション(操業)」、そして令和の「クリエーション(創造)」へとシフトした。この変革を乗り切るためには準備が必要だ。
平成から令和のパラダイムシフトにより、「空間」から「時間」への軸の変化が起こった。インターネットによる距離を問わないコミュニケーションが、コロナ・ショックにより一般的になった。もはや距離を伴う「空間」は問題ではない。その結果、退屈なオペレーションを「仕事だから」と割り切って続けるよりも、自分がストレスなくリラックスして楽しめる仕事や拠点を選ぶ人が増えるだろう。自分の人生の時間を、自分の天才性に基づいたライフワークに捧げたいと考える人が増えるはずだ。これからは職場を探すのではなく、仕事を創る姿勢が必要となる。
私たちが自分の天才性を発揮できない要因の1つに、「自分を閉じ込めているもの」の存在がある。「これはできない」「これは合っていない」といった、自分への偏見だ。この偏見を見つけて取り除くことを著者は「とげぬき」と呼ぶ。「とげぬき」は、自分の人生を振り返り、自分の偏見と向き合うことによって行う。
人生を振り返ることで、自分が本当に好きなこと、自分を突き動かすモチベーションの中心にあるもの、遺伝的なレベルで得意・不得意なこと、自分の偏見とそれが生まれたきっかけ、普段蓋をしているトラウマなどが明らかになってくる。こうした自分の構成要素がわかると、自分を俯瞰することができ、楽になる。後から身についた固定観念や思考の癖は、生まれながらに持っていたものではなく、「自分のもの」ではない。「自分のもの」ではないものが刺さったままでは自分の天才性はよく見えない。だから、「とげぬき」は重要なのだ。
まずは自分の身に起きた出来事をできるだけ多く書き出す。特に重要なのは5歳から15歳くらいまでの期間である。この頃に受けた刺激はその後の状況判断や行動に影響を与えていく。はまっていた趣味やトラウマになっているような出来事、恥ずかしい話などなんでもいい。それに対する自分の行動、感じたこと、結果も書き出す。とにかくすべて吐き出すことが重要なので、一度で終わらせずに何度も繰り返し取り組むことになるはずだ。これを丁寧に見ていくと、徐々に自分を構成するコアがわかってくる。
次に、とげぬきを行う。
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