変える技術、考える技術

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出版社
実業之日本社

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出版日
2021年06月30日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

サクッと読めるが、実に実践的なアドバイスの詰まった行動変革の本だ。人間の本能に根ざした著者のユニークすぎるアプローチに、要約者は全面的に賛成したい。これらのアドバイスを素直に受けとめて、行動を変えれば、きっと人生も変わっていくだろう。

著者は人気YouTubeチャンネル「考えるエンジンちゃんねる」の運営者である。大学卒業後、NTTデータ社でキャリアをスタート。その後、ボストン・コンサルティング・グループで徹底的に仕事力を鍛えられた。本書では、そんな著者の情熱と汗が結晶化された「ホンモノの使えるテクニック」がこれでもかと紹介される。

「はじめに(注意事項)」、そして「第0章」から、著者の刺激的なアドバイスと「わざと」エッジを効かせた言葉選びがあふれている。なかでも最高なのが、「イをムに理論」。「イライラするなぁ」と感じたときに、「イ」を「ム」に変えて「ムラムラするなぁ」とわざと声を出して言ってみるというシンプルなアドバイスだ。「なるほど」と思って読んでいたが、イライラ感情が沸き上がったときにムラムラという言葉が思い浮かび、思わず、ニヤっとしてしまった。自分がイライラしているということが客観視でき、気持ちが落ち着いたのだ。

こうした効果的な手法が満載の本書は、すべてのビジネスパーソンにおすすめできる。ぜひ高松ワールドを体験してほしい。

ライター画像
たばたま

著者

高松智史(たかまつ さとし)
一橋大学商学部卒。
NTTデータ、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)を経て「考えるエンジン講座」を提供するKANATA設立。
本講座は法人でも人気を博しており、これまでアクセンチュア、ミスミなどでの研修実績がある。
BCGでは、主に「中期経営計画」「新規事業立案」「組織・文化変革」などのコンサルティング業務に従事。YouTube「考えるエンジンちゃんねる」の運営者でもある。

本書の要点

  • 要点
    1
    ちょっとしたことで行動は変わる。言葉を変えたり、プラクティカルにこだわったり、物理的なスウィッチをもったりすることが効果的だ。
  • 要点
    2
    いっしょに働きたいと思ってもらえる人になるには、チャーム(可愛げ)が欠かせない。チャームは、【物理的な強さ】×【距離感のつめ方】×【つめたときのパンチ力】と因数分解できる。
  • 要点
    3
    ビジネスの世界を生き抜くためには、「答えのないゲーム」を戦う必要がある。その戦い方は、プロセスにこだわる、選択肢を2つ以上作る、炎上する、の3つだ。

要約

【必読ポイント!】「変化」のキーワードは「スウィッチ化」

言葉を変える

「イ」を「ム」に変えると世界は変わる。お腹が空いているときや気になっている人から既読スルーされたとき、イライラしたら、「イライラするなぁ」ではなく「ムラムラするなぁ」と大きな声で言ってみる。どうだろう。思わず笑ってしまうのではないだろうか?

また、苦手な人の名前を連絡先に登録するとき、クスッと笑えるあだ名にするのもいい。たとえば「大津マネジャー」ではなく、「大魔王大津」としてみてはどうだろうか。着信があったとき、「大魔王からまた電話が来た」と、少しだけ和むことができるだろう。大魔王と話してイライラしたら、「ムラムラしたわぁ」と言うことを忘れずに。

言葉を変えれば思考も変わるものだ。少し言葉を変えてみるだけで、プラス思考になり、人生が良い方向に変わっていくだろう。

プラクティカルにこだわる
TommL/gettyimages

お客さんが降りるときにタクシー運転手さんが言う「忘れ物しないようにしてください」。この言葉だけで忘れ物が減ることはないだろう。「忘れ物しないようにしてください」と言われても、車内を確認するという行動にはつながりにくいからだ。

では、お客さんの行動を変えるにはどうすればいいのか。正解は「降りたあとにもう一度、振り返り、座席の上に何か落ちていないか、見ましょう。足元も、もう一度、見ましょう」と言うことである。ここまで言えば、お客さんの行動が変わって、忘れ物は減るだろう。

同様に、後輩から「本を読まないといけないことはわかっていますが、どうしても読めないのです」と相談されたとしよう。「本を読む時間を毎日つくりましょう」というアドバイスは、何も言っていないのと同じことだ。よりプラクティカルにするなら、「必ず、カバンに本を3冊入れましょう」「夜、携帯を充電することをやめましょう」といったアドバイスが望ましい。すると翌日の移動中、スマホの充電が切れていて手持ちぶさたになり、カバンに入っている本を手に取ることになる。

あなたも誰かに、行動の変わらない、意味のないアドバイスをしていないだろうか。よりプラクティカルな、スウィッチになるような声かけができないか、考えてみよう。

物理的スウィッチをもつ

スウィッチを具体的なモノに置き換えるのも手だ。ある漫画家は、アイデアが浮かばないとき、カフェやファミレスに行くという。その人は、「ネタを思い浮かべるためにファミレスに行く」だったのが、いつの間にか「ファミレスに行くとネタが浮かぶ」という順番になり、やがて「ファミレスに行く」がネタが浮かぶ「物理的スウィッチ」になっている。「アイデアを思いつく方法」という目に見えないはずのスウィッチを物理化しているのだ。

あなたが企画やアイデアを考える仕事をしているなら、アイデアを考えるのに心地いい場所を見つけ出そう。その場所で考えることを繰り返すうちに、そこがあなたの「物理的スウィッチ」になっていく。もちろん場所でなくても、特定の文房具などの「モノ」をスウィッチにしてもよい。

スウィッチ化の正体

スウィッチは、行動を変える技術だ。「スウィッチ化」を因数分解すると、【ちょっとしたことで変わると心底信じていること】×【プラクティカルであること】×【スウィッチの物理化】となる。

ちょっとしたことで行動が変わったという成功体験を積み、精神論ではなく「今から、変えられる」という実用性を重視し、現実に存在する場所やモノにスウィッチを物理化する――この3つがそろえば、行動は変わっていく。

「愛と想像力」がすべて

仕事ができる人は「即レス」する
oatawa/gettyimages

「即レス」できる人、つまりメールなどにすぐに返信する人には、仕事のできる人が多い。「即レス」は、「気づいたら返す儀礼(=愛)」×「メールを予想する力(=想像力)」と因数分解できる。「返信がないのを気にするだろうな」と相手の気持ちに配慮しているだけでなく、「このタイミングでメールしてくるだろうな」と先読みして行動できているのだから、仕事ができないわけがない。

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要約公開日 2021.09.03
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