「イ」を「ム」に変えると世界は変わる。お腹が空いているときや気になっている人から既読スルーされたとき、イライラしたら、「イライラするなぁ」ではなく「ムラムラするなぁ」と大きな声で言ってみる。どうだろう。思わず笑ってしまうのではないだろうか?
また、苦手な人の名前を連絡先に登録するとき、クスッと笑えるあだ名にするのもいい。たとえば「大津マネジャー」ではなく、「大魔王大津」としてみてはどうだろうか。着信があったとき、「大魔王からまた電話が来た」と、少しだけ和むことができるだろう。大魔王と話してイライラしたら、「ムラムラしたわぁ」と言うことを忘れずに。
言葉を変えれば思考も変わるものだ。少し言葉を変えてみるだけで、プラス思考になり、人生が良い方向に変わっていくだろう。
お客さんが降りるときにタクシー運転手さんが言う「忘れ物しないようにしてください」。この言葉だけで忘れ物が減ることはないだろう。「忘れ物しないようにしてください」と言われても、車内を確認するという行動にはつながりにくいからだ。
では、お客さんの行動を変えるにはどうすればいいのか。正解は「降りたあとにもう一度、振り返り、座席の上に何か落ちていないか、見ましょう。足元も、もう一度、見ましょう」と言うことである。ここまで言えば、お客さんの行動が変わって、忘れ物は減るだろう。
同様に、後輩から「本を読まないといけないことはわかっていますが、どうしても読めないのです」と相談されたとしよう。「本を読む時間を毎日つくりましょう」というアドバイスは、何も言っていないのと同じことだ。よりプラクティカルにするなら、「必ず、カバンに本を3冊入れましょう」「夜、携帯を充電することをやめましょう」といったアドバイスが望ましい。すると翌日の移動中、スマホの充電が切れていて手持ちぶさたになり、カバンに入っている本を手に取ることになる。
あなたも誰かに、行動の変わらない、意味のないアドバイスをしていないだろうか。よりプラクティカルな、スウィッチになるような声かけができないか、考えてみよう。
スウィッチを具体的なモノに置き換えるのも手だ。ある漫画家は、アイデアが浮かばないとき、カフェやファミレスに行くという。その人は、「ネタを思い浮かべるためにファミレスに行く」だったのが、いつの間にか「ファミレスに行くとネタが浮かぶ」という順番になり、やがて「ファミレスに行く」がネタが浮かぶ「物理的スウィッチ」になっている。「アイデアを思いつく方法」という目に見えないはずのスウィッチを物理化しているのだ。
あなたが企画やアイデアを考える仕事をしているなら、アイデアを考えるのに心地いい場所を見つけ出そう。その場所で考えることを繰り返すうちに、そこがあなたの「物理的スウィッチ」になっていく。もちろん場所でなくても、特定の文房具などの「モノ」をスウィッチにしてもよい。
スウィッチは、行動を変える技術だ。「スウィッチ化」を因数分解すると、【ちょっとしたことで変わると心底信じていること】×【プラクティカルであること】×【スウィッチの物理化】となる。
ちょっとしたことで行動が変わったという成功体験を積み、精神論ではなく「今から、変えられる」という実用性を重視し、現実に存在する場所やモノにスウィッチを物理化する――この3つがそろえば、行動は変わっていく。
「即レス」できる人、つまりメールなどにすぐに返信する人には、仕事のできる人が多い。「即レス」は、「気づいたら返す儀礼(=愛)」×「メールを予想する力(=想像力)」と因数分解できる。「返信がないのを気にするだろうな」と相手の気持ちに配慮しているだけでなく、「このタイミングでメールしてくるだろうな」と先読みして行動できているのだから、仕事ができないわけがない。
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