主人公は、若くして世界的な板ガラスメーカーを仕切るゼネラルマネジャーになったジョンだ。大学で出会った美しい女性と結婚し、養子を一人迎えたあと、妻が妊娠しもう一人子どもを迎えた。社会的な地位も物質的な豊かさも手に入れたはずだったがジョンの人生は崩壊しかけていた。すべてを与えてきたはずなのに、妻から結婚生活への不満を打ち明けられる。子どもたちともうまくいかない。さらに、工場の従業員たちが労働組合を作る運動をおこしたことで、管理職としての責任を問われる。
妻の強い勧めで牧師に相談すると、ミシガン湖の湖畔にある修道院の修養会に参加して、一人でじっくり考える時間を持つことを提案された。ばかばかしい提案だと思ったジョンだったが、修道院の修道士には、伝説的人物レナード・ホフマンがいると聞いて興味を引かれた。ホフマンは、フォーチュン500に入った企業の重役を務めた人物だ。海軍では将校として数々の勲章を得て、終戦後はそのリーダーシップで複数の崩壊寸前の会社を黒字転換させた。
ホフマンは、ブラザー・シメオンという名で修道士をしており、その週の修養会でリーダーシップについての講義を受け持つことになっていた。
ジョンを入れて6人の参加者は、日曜の朝に初日の講義を迎えた。シメオンがかつて会社で働いていたとき、職場ではリーダーが作り出した環境で従業員が多くの時間を過ごしているのに、その責任に無頓着なリーダーが多かったと語る。自分が率いる人の生活への影響など、考えたこともなかったジョンは居心地が悪くなった。これから7日間リーダーシップについて考えるにあたり、リーダーシップという言葉の定義を一緒に考えてほしいと、シメオンは全員に呼びかけた。そこで出た答えは、「共通の利益になると見なされた目標に向かって熱心に働くよう、人々に影響を与える技能」であった。
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