著者の一家は大規模な家の片付けを始めることになった。著者の配偶者は「DIYするする詐欺常習犯」であるため、不用品はゴミ袋に収まるような規模ではなく、建設機器レンタル会社から「スキップ」を借りることになった。スキップとは廃棄物入れのコンテナだ。英国では家の建て替えをする際など、これに廃棄物を入れて、クレーンで持ち上げ、トラックで運び去る。自宅前にスキップが運び込まれたが、配偶者は物を捨てるのが苦手な性分で作業がなかなか進まず、スキップの底に20%くらい廃棄物が溜まっている段階で止まっていた。
そんなある日の朝、家の前で大きな物音がした。著者は反射的に誰かがスキップにゴミを入れたのだと思ったが、そうではなかった。鉄くずを集めているルーマニア移民が、スキップの中の物を持っていこうとしていたのだ。配偶者は彼らに古い自転車を渡し、まだ不用品が出るからまた来るように伝えていた。
翌日からルーマニア移民たちは毎朝著者の家を訪れるようになった。配偶者は鉄のついたもののほか、安全ベストや、「思い出があるから」とずっと捨てられなかった息子のベビー服まで彼らに譲った。近々子供が生まれるのだという。ルーマニア移民たちの中には子供もいたので、配偶者は息子にも不要な服があればまとめるように言った。
著者が通りかかると、息子は不要な服をまとめる手を止め、考え込んでいた。
「僕は自分のごみを誰かにあげようとしているのかな?」
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