カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量をプラス・マイナスゼロにすることだ。その目的は、地球の温暖化をおさえることにある。温室効果ガスの代表例は二酸化炭素だ。
石油などが燃えると、中に含まれる炭素部分が燃焼反応で酸素と結合して二酸化炭素になり排出される。植物を育てると葉の気孔から二酸化炭素を吸収して養分に転換するので、二酸化炭素は減る。大気中への排出が「プラス」で吸収が「マイナス」、相殺できればプラス・マイナスゼロの「ニュートラル」の状態となる。英語ではプラスとマイナス合算後の変化を「ネット」という。そのため、カーボンニュートラルは「ネットゼロ」とも呼ばれる。
地球の気温は1850年以降上昇を始め、2016年、2019年、2020年の3年に最高レベルに達した。1850年から1900年までの平均と比較して、1.2℃上昇している。「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」という世界の科学者グループによると、気温上昇の原因は、人間社会の温室効果ガス排出である確率が95%以上だとしている。そしてNASAでも科学者の97%以上が同じ結論に至った。
IPCCの分析では、温室効果ガス排出が地球温暖化の原因である確率は年々上がっており、気候変動懐疑派は科学的根拠を失っている。日本では懐疑派の言論が話題になることもあるが、世界の科学者からはほとんど支持されていないのだ。
2020年に環境省が出した報告書をひもとくと、気候変動が日本経済、生活、健康、自然環境に与える影響はかなり厳しいものだった。例えば、農林水産業は高リスクとされ、気温上昇や降雨パターンの変化により、様々な作物の不作や品質低下が予想されている。水環境・水資源では、豪雨などによる水インフラへの影響や居住場所への影響がある。また健康への影響も大きい。例えば猛暑は人を死に至らしめる。
つづいて産業・経済活動では、食品製造業、金融・保険業、建設業のリスクが高いとされる。農作物や食品原料の生産減少は食品流通の不安定につながるうえに、災害は保険会社の経営に直結する。
我々がとるべき対策は2つである。
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