人間の脳は、起きてから2〜3時間のパフォーマンスが1日で最も高い。脳が疲れておらず、脳内も非常に整理された状態にあるからだ。「脳のゴールデンタイム」と呼ばれるこの時間帯は、論理的な作業や執筆、語学学習といった高い集中力を要する仕事を行うのに適している。 脳科学的に最高のパフォーマンスを発揮できる時間帯に、それに合った仕事をすると、仕事の効率を2倍以上に高めることが可能だ。朝の1時間は夜の1時間の4倍に匹敵する。
日々の仕事には、集中力を要する「集中仕事」と、いつでもできる「非集中仕事」がある。それぞれの作業を時間帯によっていかに適切に振り分けるかが、1日の仕事量を左右する。「集中仕事」には、文章や重要な資料の作成、英語資料の読み書きなどがある 。一方「非集中仕事」は、メールや電話の対応、コピー取り、打ち合わせなどだ。集中力の高い時間に「集中仕事」をし、「非集中仕事」は、脳が疲れていてもできる時間に行うのが良い。
「集中力の高い時間」とは、「起床後の2〜3時間」「休憩した直後」「就業間際」「締め切りの前日」などである。集中力を「高めよう」とする必要はない。「集中力の高い時間に集中力の必要な仕事をする」ことで2倍以上の効率を得ることができるようになる。
通常、時間は「線」のように流れる「一次元」として考えられる。通勤時間の1時間にゲームではなく読書するというような有意義な時間の置き換えが従来の「一次元時間術」である。しかし、これだけで数倍の仕事量をこなすことは不可能だ 。
本書で紹介する時間術は、横軸に「時間」、縦軸に「集中力」を置くことで、時間の進行が「線」でなく「面」になる 「二次元時間術」である。集中力の高い時間帯に集中力が求められる作業を行うことで、この「面積」は大きくなる。つまり、仕事量を増やすことができるという発想だ。
「集中力(仕事効率)」×「時間」=「仕事量」。集中力が上がれば、同じ時間内 にこなせる仕事量は2倍にも3倍にも増える。これが「二次元時間術」である。
時間術で捻出した「自由時間」を何に使うべきか。多くの人が「仕事」と言うかもしれないが、それはいいことではない。
せっかく作り出した自由時間でさらに仕事をする、ということを繰り返すと、結局1日のほとんどが「仕事」の予定で埋めつくされ、コマネズミのように働き続ける羽目になる。 それよりも「自己投資」や「能動的娯楽」、そして「楽しむ」ために活用したほうがいい。
娯楽には「受動的娯楽」と「能動的娯楽」の2つがある。テレビやゲームなどに代表される「受動的娯楽」は時間の浪費につながるが、読書、スポーツ、楽器の演奏、ボードゲームなどの「能動的娯楽」は自己投資であり、楽しみながら自己成長ができる。
仕事のスキルアップのために「自己投資」をすれば、同じ仕事をより短時間で片づけることができるようになる。するとさらに自由時間が生まれ、それを自己投資に使うことができる。自己投資と自己成長、時間創出の無限スパイラルが生まれるのである。
人間の身体には「体内時計」があり、非常に正確なリズムを刻んでいる。有名なものには24時間単位の「サーカディアンリズム」がある。毎日同じ時間に眠気を感じたり、空腹を感じたりするというものだ。もう少し短いものでは90分周期の「ウルトラディアンリズム」である。人間の脳は約90分の周期で覚醒度が変化しており、覚醒度の高い90分と眠気の強い20分が交互に訪れる。
人間の脳の集中力は海の波のように高まったり低くなったりというリズムを繰り返している。この集中力のリズムに上手に乗ることが、集中力を最大限活用する仕事術の基本である。著者は人間の集中できる時間単位は「15分」「45分」「90分」の3つあると考え、これを「15・45・90 の法則」と呼んでいる。
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