空気を読み、周囲に合わせることを美徳とするのは日本の風潮だ。一方で、世界で活躍する人には、空気を読まない人が多いのも事実である。
著者の先輩研究者であるSさんは、「空気を読まない」ことで己を貫いている人物だ。Sさんの最大の特徴は、「自分の得意なものを把握して、苦手なことはやらない」「周囲に自分を合わせるのではなく、周囲が自分に合わせるようにする」ことだった。苦手な分野を克服しようとするのではなく、自分の得意なところをさらに高めるための努力に徹していたのだ。
この方法は、いい結果につながりやすい。自分の苦手な部分を他の人にお願いすると、相手は「頼りにされた」と感じ、喜んで引き受けてくれることが多いものだ。そして自分は、得意なことに集中して能力をフルに発揮できる。
オールマイティになれることなんて、めったにない。不得意分野までカバーしようとして中途半端になるよりも、得意なところに目を向けよう。そうすれば結果につながるし、何より楽しく取り組めるだろう。
勉強や仕事をいきなり始めても、なかなか調子が出ないことがある。そんなときは、自分なりの「儀式」を行ってから取りかかるようにするとよい。コーヒーをいれてから仕事をする、机の整理整頓をしてから勉強をスタートするなど、ルーティンを決めてみよう。やがてこの「儀式」によって、脳が勉強や仕事の準備を始めるようになる。
儀式を終えてもやる気が出なかったとしても、ガマンして5分間だけやってみよう。そうすると、脳が勉強モード、仕事モードに入り、30分、1時間と続けられる。
人間は、面倒なことでも一度始めてしまうと、意外にすんなりと進められる生き物だ。始める瞬間の「やる気が起きない」気持ちを取り払うことが、一番大事なのだ。
某大手電機メーカーの役員を務めたKさんは、20世紀の「技術大国・日本」を牽引した功労者だ。「世界の強力なビジネスパーソンを相手に渡り歩いてこられたのはなぜだろう?」と感じさせるほど、柔らかい雰囲気をまとった人物である。だがKさんと一緒に過ごすと、彼は物腰柔らかでありながらも、決して主張を曲げないのだと気付く。
相手のミスを突き、自分の考えを通す方法は、議論において有効だと思うかもしれない。だがその方法では、相手と良い関係を築いていくのは困難だ。
一方、周囲を気遣いながらも意見は曲げず、相手を巻き込めば、相手のプライドを傷つけずに自分のやりたいことを貫ける。友好的な関係を築けて、互いにメリットが大きい。
「そういわれても難しい」と感じる人には、「アサーション・トレーニング」をおすすめしたい。
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