「しなくていいこと」を決めると、人生が一気にラクになる

精神科医が教える「生きづらさ」を減らすコツ
未読
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「しなくていいこと」を決めると、人生が一気にラクになる
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2021年09月08日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

日本人は非常にまじめで、きっちり仕事をする人々だと評されることが多いものだ。確かに街は清潔で、電車は時間どおり走り、お店にはキズひとつない商品が整然と並んでいる。しかしその陰には「そこまでキッチリできない」と苦しんでいる人たちが多いのも事実だ。コミュニケーションが苦手だ、時間やタスクの管理がうまくできない、何度も同じミスを重ねる、といった人たちだ。

精神科医である著者によると、そのような人たちのなかには「発達障害」の傾向がある人も多い。自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症、学習障害といった診断名がつくのは、発達障害の特性を持つ人の一部にすぎないそうだ。

本書は発達障害の特性のあり・なしに関わらず、「周りの人と同じようにできない・社交的にできない」と悩む人たちに向けて書かれた本だ。その要点を短く表現するならば、「周りの人と同じようにできなくてもいい。苦手なことはやらないと決めて心身の負担を軽くし、ラクに生きよう」である。

たとえば著者は、飲み会が苦手な人に向けて、参加しなければ仕事で不利になりかねない飲み会だけを選べばいいとアドバイスする。同様に、相手の顔色が気になりすぎてしまう人には、顔色ではなく相手の話に集中することをすすめている。

キッチリやることが得意な人もいれば、そうでない人もいて当然だ。やさしい文章で書かれた本書を読めば、がんばる自分をやさしく肯定してあげられるだろう。

ライター画像
ヨコヤマノボル

著者

本田秀夫(ほんだ ひでお)
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授・同附属病院子どものこころ診療部部長
特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事
精神科医。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。2011年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年、信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長。2018年より、同子どものこころの発達医学教室教授。発達障害に関する学術論文多数。英国で発行されている自閉症の学術専門誌『Autism』の編集委員。日本自閉症スペクトラム学会会長、日本児童青年精神医学会理事、日本自閉症協会理事。2019年、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)に出演し、話題に。著書に『自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体』『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』(以上、SBクリエイティブ)、共著に『最新図解 女性の発達障害サポートブック』(ナツメ社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    生きづらさを感じている人は、ただ他人の目を気にしすぎているだけかもしれない。
  • 要点
    2
    「しなくていいこと」を増やしていくと、「本当にやりたいこと」に注力できるようになり、人生がラクに楽しくなっていく。
  • 要点
    3
    対人関係の悩みを解決するためのポイントは、「協調性」より「ルール」を優先することだ。社会のルールから大きく逸脱しなければ、自分の生きやすいスタイルを選んでかまわない。

要約

「生きづらい」と思ったら

「どんな損があるのか」を考えてみる
monkeybusinessimages/gettyimages

「周りの人はちゃんとできているのに自分だけできていない」「自分が悪いのかもしれない」と感じることが続くと、生きることが本当にしんどいと思えてしまうものだ。でもそれは、あなたが悪いというより、ただ他人の目を気にしすぎているだけかもしれない。

たとえば「自分は上司から注意されることが多いから、仕事の能力が低いし、コミュニケーション能力が足りないのでは」と思っているとしても、友人や他部署の人とはうまく付き合えているケースがある。この場合、コミュニケーションに問題があるのではなく、単純に上司との相性が悪いだけかもしれない。また、たとえ片付けができなくても、誰かのスペースに侵入するほどでなければ、大きな問題ではないはずだ。

他人の目を気にしすぎると、のびのびと自由に活動できなくなる。そうならないために、まず身近な人との関係を見直してみよう。何かをしたときに「悪く思われたかな」と気になってしまうのであれば、「それで自分にどんな損があるのか」を考えてみる。「ちょっと嫌われたかもしれないけれど、仕事には何も影響はない」という結論なら、それ以上気にする必要はない。

身近な人との関係を見直したら、次は「自分が不得意なこと」のなかから「気にしなくてもいいこと」「やらなくていいこと」を決める。そうして必要のないことを少しずつ減らしていくと、「本当にやりたいこと」に注力できるようになり、人生がラクに楽しくなっていく。

「発達障害」が原因の可能性も

著者は精神科医として、発達障害がある人をふくめて、さまざまな人の相談を受けてきた。発達障害というと「自分は関係ない」と思う人もいるだろう。だが発達障害の傾向がある人は意外と多いものだ。ここでは発達障害について、簡単に解説しておこう。

発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などの種類がある。それぞれ、臨機応変な人間関係が苦手でこだわりが強い、不注意と多動性・衝動性、読み・書き・計算が苦手などといった特性が見られる。

発達障害の特性がある人は、仕事や対人関係、日常生活において、周囲から「なぜこんな簡単なことができないのか」と思われてしまうことも多い。しかしその特性上、努力しても結果に結びつかないことがあるし、社会にうまく合わせているように見えても、心に葛藤を抱えていることもある。心当たりのある人は、本書を読んで、自分の特性を理解し、戦略的に「やらないこと」を選択してほしい。

【必読ポイント!】対人関係の「しなくていいこと」

「協調性」はなくてもいい

対人関係の悩みを解決するためのポイントは、「協調性」より「ルール」を優先することだ。協調性を軸にすると、相手次第でとるべき行動が変わるため、混乱してしまうことがある。一方、ルールは決まりごとで、相手によってぶれることがない。ルールにもさまざまあるが、社会のルールから大きく逸脱しなければ、自分の生きやすいスタイルを選んでかまわないはずだ。

対人関係で「しなくていいこと」を手放すためには、「人の評価を気にしすぎない」という点も大切だ。「自分がこういうことをしたら、相手はどう思うだろう」「嫌われるかもしれない」と考えそうになったら、「協調性よりもルールを優先」という原則を思い出そう。社会のルールを守っていれば、少しくらいやり方を変えても、嫌われたり怒られたりすることはほとんどない。あなたがルールを守っているのにネガティブな反応をする人がいたら、その人と距離をとればいいだけだ。

不要な飲み会には参加しない
taka4332/gettyimages

飲み会が苦手な人がいる。原因はいくつもあるが、ここでは「気配りをするのが苦手で、飲み会に参加するとものすごく疲れてしまう人」のケースについて考えてみよう。

あなたも、上司や先輩から「付き合いも仕事のうち」「飲み会で人脈を広げるのも大事」などと言われたことがあるかもしれない。しかし「飲み会には行かなければならない」「誘われたら、絶対に断ってはいけない」と決めると、ますます飲み会がストレスになる。もし飲み会が苦手なら、

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要約公開日 2021.11.22
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