「周りの人はちゃんとできているのに自分だけできていない」「自分が悪いのかもしれない」と感じることが続くと、生きることが本当にしんどいと思えてしまうものだ。でもそれは、あなたが悪いというより、ただ他人の目を気にしすぎているだけかもしれない。
たとえば「自分は上司から注意されることが多いから、仕事の能力が低いし、コミュニケーション能力が足りないのでは」と思っているとしても、友人や他部署の人とはうまく付き合えているケースがある。この場合、コミュニケーションに問題があるのではなく、単純に上司との相性が悪いだけかもしれない。また、たとえ片付けができなくても、誰かのスペースに侵入するほどでなければ、大きな問題ではないはずだ。
他人の目を気にしすぎると、のびのびと自由に活動できなくなる。そうならないために、まず身近な人との関係を見直してみよう。何かをしたときに「悪く思われたかな」と気になってしまうのであれば、「それで自分にどんな損があるのか」を考えてみる。「ちょっと嫌われたかもしれないけれど、仕事には何も影響はない」という結論なら、それ以上気にする必要はない。
身近な人との関係を見直したら、次は「自分が不得意なこと」のなかから「気にしなくてもいいこと」「やらなくていいこと」を決める。そうして必要のないことを少しずつ減らしていくと、「本当にやりたいこと」に注力できるようになり、人生がラクに楽しくなっていく。
著者は精神科医として、発達障害がある人をふくめて、さまざまな人の相談を受けてきた。発達障害というと「自分は関係ない」と思う人もいるだろう。だが発達障害の傾向がある人は意外と多いものだ。ここでは発達障害について、簡単に解説しておこう。
発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などの種類がある。それぞれ、臨機応変な人間関係が苦手でこだわりが強い、不注意と多動性・衝動性、読み・書き・計算が苦手などといった特性が見られる。
発達障害の特性がある人は、仕事や対人関係、日常生活において、周囲から「なぜこんな簡単なことができないのか」と思われてしまうことも多い。しかしその特性上、努力しても結果に結びつかないことがあるし、社会にうまく合わせているように見えても、心に葛藤を抱えていることもある。心当たりのある人は、本書を読んで、自分の特性を理解し、戦略的に「やらないこと」を選択してほしい。
対人関係の悩みを解決するためのポイントは、「協調性」より「ルール」を優先することだ。協調性を軸にすると、相手次第でとるべき行動が変わるため、混乱してしまうことがある。一方、ルールは決まりごとで、相手によってぶれることがない。ルールにもさまざまあるが、社会のルールから大きく逸脱しなければ、自分の生きやすいスタイルを選んでかまわないはずだ。
対人関係で「しなくていいこと」を手放すためには、「人の評価を気にしすぎない」という点も大切だ。「自分がこういうことをしたら、相手はどう思うだろう」「嫌われるかもしれない」と考えそうになったら、「協調性よりもルールを優先」という原則を思い出そう。社会のルールを守っていれば、少しくらいやり方を変えても、嫌われたり怒られたりすることはほとんどない。あなたがルールを守っているのにネガティブな反応をする人がいたら、その人と距離をとればいいだけだ。
飲み会が苦手な人がいる。原因はいくつもあるが、ここでは「気配りをするのが苦手で、飲み会に参加するとものすごく疲れてしまう人」のケースについて考えてみよう。
あなたも、上司や先輩から「付き合いも仕事のうち」「飲み会で人脈を広げるのも大事」などと言われたことがあるかもしれない。しかし「飲み会には行かなければならない」「誘われたら、絶対に断ってはいけない」と決めると、ますます飲み会がストレスになる。もし飲み会が苦手なら、
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