なぜ勉強をしなくてはならないのか――そんな疑問を抱いたことがある人は多いだろう。本書はこの素朴な疑問に答える本だ。
実は、勉強するのとしないのとでは、人生の「質」が格段に違ってくる。中高生のときには実感できないかもしれないが、勉強すれば楽しくて豊かな未来に一歩近づけるのだ。
勉強には「活きた勉強」と「死んだ勉強」がある。「活きた勉強」は、楽しく、生きることを明るくしてくれるものだ。「学校の勉強は無駄だった」と言う人もいるが、そのような人は「死んだ勉強」をしてきたのだろう。
活きた勉強をしていると、自然とワクワクしてくる。ひとたび活きた勉強の楽しさを知ったら、もう死んだ勉強に戻ることはできない。
受験は意外にも、人生の役に立つ。具体的には、3つの意義がある。
1つ目の意義は、受験で学んだ内容は一生にわたって役立つ基盤になることだ。大学受験は「コンテンツ学力」と「ノウハウ学力」という2つの能力を獲得する絶好の機会である。
コンテンツ(内容)学力とは、英単語・歴史年代・物理法則など、覚えればそのまま使える学力のこと。著者自身、受験で身につけた英語力は、学者として論文を読むうえで大いに役立っている。
一方、ノウハウ(方法)学力とは、新しい知識を獲得する能力のことだ。ノウハウ学力を身につけることで、限られた時間内に成果を上げられるようになる。
2つ目の意義は、受験勉強によって自分の世界を広げられることだ。教養とは、世界の多様性を理解する力で、コンテンツ学力から醸成される。幅広い知識を身につければ、さまざまなものを「おもしろがれる」好奇心が生まれるのだ。
3つ目の意義は、自分の適性を発見できることだ。「自分をプロデュースする力」が身につくと言い換えてもいいだろう。複数の教科を勉強するうちに、意外な分野に興味を持つこともある。受験勉強は「自分探し」にも役立つのだ。
勉強は、自分に何をもたらしてくれるのか。それを理解して取り組めば、結果はおのずと違ってくるはずだ。
英単語や歴史の年号、元素記号、生物の分類名などといったコンテンツ学力は、受験を突破するためだけのものではない。社会に出てからもあらゆる場面で役に立つものだ。実際、学者である著者は、英語で論文を読んだり書いたり、国際学会で議論したりしているが、それができるのは高校時代に必死に英語を勉強したからだ。
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