リモート疲れとストレスを癒す「休む技術」

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リモート疲れとストレスを癒す「休む技術」
出版社
出版日
2021年08月12日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

要約者はリモートワークが増えて、夕方5時からオンライン会議が入るようになった。会議後はすぐに夕食をとるが、頭から仕事のことが離れない。家族からは「他のことを考えているでしょう」といわれる始末。オンとオフの切り替えは案外難しいものだ。もちろん業務の種類、状況によるが、コロナ以降、オフィスでもオンライン会議が中心となり、仕事のスタイルが大きく変わったことは確かだ。

リモートワークが可能な職種では、通勤時間がなくなり、家族といっしょにいる時間をとりやすいというプラスの側面がある。一方で、リモートワーク独特の疲労感やストレスが溜まってきているという方もいるのではないだろうか。Zoom疲れ、眼精疲労、オンとオフの切り替えの難しさ、脳疲労、孤独、先の見えない不安、不眠、コロナうつ――。本書では、今まさに私たちが直面しているデジタル・オンライン時代ならではの悩みに対し、「意識して休憩をとる」ことの大切さを教えてくれる。

精神科医の著者は、「なんとなく不調」「集中できない」「動かないのにヘトヘト」を甘く見てはいけないという。心と脳の疲れ、孤独にどう対処していけばいいのか。そのアドバイスは、数々の研究結果に基づいているため本質的であり、それでいて読者が気軽に試そうと思える内容ばかりだ。そして著者のあたたかい人柄も文章から垣間見える。

リモート時代の「休む技術」を日常生活に取り入れ、高いパフォーマンスにつなげていただきたい。

ライター画像
たばたま

著者

西多昌規(にしだ まさき)
精神科医・医学博士。早稲田大学スポーツ科学学術院・准教授、早稲田大学睡眠研究所・所長。
1970年石川県生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。国立精神・神経医療研究センター病院精神科、東京医科歯科大学助教、ハーバード大学医学客員研究員、自治医科大学大学講師、スタンフォード大学医学部客員講師を経て、現職。
日本精神神経学会精神科専門医、日本睡眠学会専門医、日本老年精神医学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクターなど。専門は睡眠医学、身体運動とメンタルヘルス、アスリートのメンタルケアなど。主な著書に『眠る技術』『「昨日の疲れ」が抜けなくなったら読む本』『休む技術』『「集中力」を高める技術』(だいわ文庫)、『「テンパらない」技術』(PHP文庫)、『自分の「異常性」に気づかない人たち』(草思社文庫)など多数がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    オンライン会議疲れには5つの要素がある。「映像疲れ」「音声疲れ」「脳の疲れ」「身体の疲れ」「ソーシャルな疲れ」だ。
  • 要点
    2
    着替え、あいさつ、部屋の電気の3点は、リモートワークならではのオンとオフを切り替えるスイッチである。
  • 要点
    3
    仮眠をとる、寝る前にスマホを見ないようにするなどして、睡眠のリズムを整えることが大切だ。
  • 要点
    4
    孤独は健康や寿命、幸福度にとっていちばんの敵である。
  • 要点
    5
    リモートワークの時代こそ、「自分のための休み」である有給休暇をとるようにしたい。

要約

【必読ポイント!】 リモートワークで脳も身体もヘトヘト

オンライン会議疲れの理由とは

身体はラクなはずなのに、オンライン会議はなぜ疲れるのか。アメリカでは2020年に入って「Zoom疲れ」(Zoom fatigue)という言葉が流行した。それはオンライン会議ならではの違和感が原因となる疲労のことだ。

著者はオンライン会議疲れのもととなる要素を次の5つに分類する。

まずは「リアルとの不調和」で生じる「映像疲れ」である。何人もの表情を同時に読みとる作業に疲れるのだ。ズームアップされた表情は、見ている人に無意識のうちに圧迫感や恐怖感を与えているともいわれる。こうしたオンライン画面からは、表情や声の調子など非言語的な情報が充分に伝わらない。また、画面の切り替え時に生じる微妙なズレがイライラのもとにもなる。

対処法としてはお互いに画面をオフにする時間を設けるのも有効だ。スクリーンを見続けると、まばたきは50%以下にまで低下する。ドライ・アイ、眼精疲労のリスクは避けられない。20分ごとに20秒間5メートル先のものを見るなど、アメリカ眼科学会が推奨している方法を習慣化してもよい。

「音声疲れ」
filadendron/gettyimages

2つ目は「音声疲れ」だ。画面と音声のタイムラグがストレスになるのだ。また、発言を譲り合ったり、音声が重なったりすることで、イライラが生まれる。沈黙が続くのも居心地が悪い。そこで役立つのが、発言しない間はミュートにするというルールだ。アメリカのオールド・ドミニオン大学の研究によると、ミュートのオン・オフを多用して発言するほうが、疲労度が低いという。

「脳の疲れ」とマルチタスクの弊害

3つ目は「脳の疲れ」だ。オンライン会議は脳にもよくない影響を及ぼす。オンライン会議中にメールを書いたり、スマートフォンを見たりしている人も多いだろう。これは2つ以上のことを同時に行う「マルチタスク」の状態だ。

重度のマルチタスカーは、無関係な刺激からの干渉を受けやすいため、ミスが多く、作業の能率が悪いことが分かっている。イギリスのサセックス大学の研究によると、複数のデバイスを頻繁に操作していると、神経細胞が多く集まる脳の灰白質という部位の密度が低くなるという。そのため集中力が下がってしまうのだ。こうしたマルチタスクの弊害に気をつけるようにしたい。

「身体の疲れ」と「ソーシャルな疲れ」

4つ目は「身体の疲れ」だ。自宅でのリモートワークでは、姿勢やデスク、イスなどの作業環境に気をつけないと、腰痛などの問題が生じる。ノートパソコンを使うときには、前かがみになり、「ストレートネック」になりやすい。首の頸椎のカーブが失われると、首の痛みを引き起こすだけでなく、肩こりや頭痛にもつながる。座りっぱなしは万病のもとであるため、立ったり座ったりするという動作を増やすようにしたい。

最後は「ソーシャルな疲れ」だ。

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要約公開日 2021.11.16
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