人から何かをプレゼントされたり親切にしてもらったりしたときは、誰しも感謝の気持ちを表すだろう。しかし「ありがとう」というお礼だけでは、相手の心に残る「一言」にはならない。
感謝の気持ちを表明するときは、できるだけ具体的にその気持ちを表現し、自分の感想を付け加えるようにしよう。たとえば食事をご馳走になったなら、「どうもありがとうございました」や「ごちそうさまでした」だけでなく、「おいしかった」という一言を追加する。すると、感謝の気持ちに加えて、料理を楽しんだという事実も相手に伝わるだろう。加えて特に印象に残った料理について「あれほどにおいしい料理は初めてで、これ以上の幸せはない」などとコメントすると、ますます相手の心に残る「一言」になるはずだ。
英会話で「お元気ですか?」という質問に対して「ありがとう、元気です。で、あなたは?」という答え方を教わった人は多いだろう。質問に対して返答するだけでなく、相手の様子を尋ねるのだ。
ここに、会話をスムーズに続けながら、人間関係を深めていくヒントがある。つまり会話において、相手が聞いてきたことに対して答えた後、同じ内容を尋ね返すのだ。
ただし、同じ内容を尋ね返した場合でも、相手が言葉を濁すこともある。そんなときはすぐに話題を変えよう。もちろん自分が何かを聞かれた際にも、答えたくないならあまり詳細に話す必要はない。
いずれにしても、個人的な情報について質問をしたら、相手も同じ内容について自分の情報を求めてくると心得ておかなくてはならない。その覚悟ができていないなら、質問を変えたほうがいいだろう。
とある企業の管理職が、取引先に依頼する仕事をすっかり忘れていて、大慌てで依頼をかけた。通常は1週間かかる仕事を3日で仕上げてもらわなくてはならないのに、自分の過失を認めて頭を下げるのではなく、ただ期間内に仕上げてくれの一点張りである。割増金を払うからと言ったり、過去の取引実績を盾にとったりして、無理やり引き受けてもらった。
3日後、取引先はきっちりと仕事を仕上げて持ってきた。それに対して彼が開口一番に言ったのは「やればできるじゃないか」という言葉だった。無理して仕事を受けた相手は唖然とし、二度と彼の仕事はしないと決心したと言う。「無理を言ってすまなかった」「大変だったでしょう」などといった言葉とともに、感謝の気持ちをきちんと伝えていたら、別の結果が待っていただろう。
相手が特別に努力をしたことがわかったときは、労いの言葉をかける必要がある。「大変だっただろう」の一言でいい。相手の苦労を思えば、自然と言葉が出てくるはずだ。
海外駐在員としての経歴を持つ著者は、アメリカで幾度となくホームパーティーを経験した。会話が苦手なので、はじめは参加することに抵抗感を抱いていたが、回数を重ねるうちに慣れていった。
ここで悟ったのは、大抵の会話はたわいのないことをしゃべっているのだから、立派なことを上手に話そうとする必要はないということだ。たいしたことのないトピックでも、ちょっとしたスパイスをきかせるとぐっと面白い話になる、ということにも気が付いた。
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