ITの進展により世界はぐっと近くなった。インターネットなどを駆使すれば、あらゆる情報が収集でき、世界中の誰とでも直接コンタクトをとれる。誰もがその気になれば、新しいことを簡単に試せるのだ。
「世界で活動する」「新しい分野に挑戦する」「自分の仕事の将来を切り開く」。こうしたことは大それたことではない。もちろん失敗もするし、予想と違うこともあるだろう。だが、行動して初めて学べることがある。それらは自分のユニークな財産となるだろう。最初の一歩を踏み出せば、「世界」はすぐそばにある。
情報の洪水の中、どこから始めたらよいかと迷い、尻込みしてしまう人もいるだろう。そんなときは、「無駄を省いて正しいやり方をしよう」と思わず、できることから始めてみるといい。
著者は以前、馴染みのないテーマのセミナーを依頼され、「えいや!」と受けたことがある。その後、ネットで関連する資料や動画を探していたところ、偶然にも旧友がその分野で活動していることを知った。そして久しぶりに連絡を取り、セミナーに役立つ資料を送ってもらえたという。
まずは気負わず簡単な活動から始めてみよう。新しいキャリアのきっかけは、意外なところに転がっている。
海外では気軽なコミュニケーションが盛んだ。たとえば、エレベーターでたまたま一緒になった見知らぬ人に「良い天気ですね」と話しかけたり、話しかけられたりする。レストランでは、隣の人が食べているものを見て、「おいしそうだけど、そのメニューはどれ?」と聞くこともある。
通りすがりの人とも気軽に会話を楽しむセンス、知らないことは何でも聞く姿勢は、世界で活動する上で欠かせない。日本では、相手の気持ちを察することが美徳だとされる。だが、いろいろな人がいる場合、それぞれのニーズを推測するのは難しい。
著者は大学時代に交換留学で米国に行った際、「あなたはどう思うか?」と問われて、途方に暮れた。だが、相手は専門家の意見を求めているのではなく、著者の感想や好き嫌いを尋ねているのだと気づいた。また、英語の授業では英語がよくわからず、先生に宿題は何かと尋ねていたものの、先生は常に親切に教えてくれたという。これらの経験から、わからないことは質問したほうがいいのだと学び、少しずつ社交性を身につけていった。
質問や意見は、回数を重ねればコツもわかってくる。大げさに考えず、気軽に声をかけてみよう。すると、自分の人生は自分自身で生きているという実感や認識が生まれるだろう。
「完璧の呪縛」とは、「100%できる(わかる)ようにならないうちは、何もできない(したくない、意見を言えない)」という心の状態を指す。完璧を期すること自体は悪いことではない。問題は、完璧を期するべき分野とそうでない分野の峻別ができないことだ。そして、変化の速い時代にテンポが合わなくなることである。完璧にこだわるあまり、「試す、実験する、ちょっとやってみる」というプロトタイピングをしないでいると、時間だけが過ぎ、状況が変わってしまう。
「完璧の呪縛」を脱するコツは2つある。
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