世界で活躍する人の小さな習慣

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世界で活躍する人の小さな習慣
出版社
日本経済新聞出版社

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出版日
2019年02月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

2021年9月に新設されたデジタル庁。その初代デジタル監に任命されたのが、著者の石倉洋子氏である。石倉氏は日本人女性として初めてハーバード大学大学院で経営学博士を取得した人物で、世界経済フォーラム会議に参加するなど豊富な海外経験の持ち主である。本書はそんな石倉氏の経験に基づいた、グローバルに活躍するための指南書である。

ここで「自分には関係ない」と思ったとしたら、ちょっと待ってほしい。なぜなら本書は、自身のキャリアに悩むビジネスパーソンにこそ読んでいただきたい一冊だからだ。特に「新しい挑戦をしてみたいが勇気が出ない」といった人の背中を押してくれる。

著者が説くのは「一歩を踏み出すこと」の大切さである。思いついたアイデアを周囲の人に話してみる、疑問に思ったことは聞いてみる。こんなふうに気楽にアウトプットしてみることが突破口となる。そして、この小さな習慣によって「世界で活躍する人」の仲間入りを果たせるはずだ。

著者はグローバルをめざすかどうかにかかわらず役立つ「キャリアの切り開き方」のヒントを数多く紹介している。好きなことや興味が湧くことは、まずやってみる。その積み重ねが石倉氏の多彩なキャリアにつながっているのだと要約者は感じた。何より元気をもらえる一冊である。自分の軸を見失いやすい現代だからこそ、本書を手にし、世界へのアンテナを立てて前に進むきっかけをつかんでいただきたい。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

石倉洋子(いしくら ようこ)
一橋大学名誉教授。
専門は、経営戦略、競争力、グローバル人材。現在、資生堂、日清食品ホールディングス株式会社の社外取締役を務めた。世界経済フォーラムExpertのメンバー。
上智大学外国語学部英語学科卒業後、フリーの通訳などとして活躍。バージニア大学大学院にて経営学修士(MBA)、ハーバード大学大学院にて経営学博士(DBA)取得。マッキンゼー・アンド・カンパニーでマネジャーを務めたのち、青山学院大学国際政治経済学部教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授を歴任。
2010年より「石倉洋子のグローバルゼミ」、2013年より「ダボスの経験を東京で」、2018年より「SINCA」など、世界の課題を英語で議論する「場」の実験を継続中。
主な著書に『タルピオット』(日本経済新聞出版社)、『世界級キャリアのつくり方』(共著、東洋経済新報社)、『戦略シフト』(東洋経済新報社)、『グローバルキャリア』(東洋経済新報社)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    世界で活動し、自分のキャリアを切り開くためには、まず一歩を踏み出してみることが大切だ。正しいやり方にこだわらず、できることからやってみよう。行動することで多くのことを学べる。
  • 要点
    2
    プレゼンテーションは「あなた」のものである。誰かの真似をするのではなく、自分なりの経験やストーリーを語り、自分に合ったスタイルでプレゼンテーションをしよう。
  • 要点
    3
    仕事や他の活動をする上で最も大切なものは「時間」である。世界は刻々と動いている。スピード感を持って、できることは今すぐにやろう。

要約

【必読ポイント!】 まずは気楽にやってみる

最初の一歩を踏み出す

ITの進展により世界はぐっと近くなった。インターネットなどを駆使すれば、あらゆる情報が収集でき、世界中の誰とでも直接コンタクトをとれる。誰もがその気になれば、新しいことを簡単に試せるのだ。

「世界で活動する」「新しい分野に挑戦する」「自分の仕事の将来を切り開く」。こうしたことは大それたことではない。もちろん失敗もするし、予想と違うこともあるだろう。だが、行動して初めて学べることがある。それらは自分のユニークな財産となるだろう。最初の一歩を踏み出せば、「世界」はすぐそばにある。

情報の洪水の中、どこから始めたらよいかと迷い、尻込みしてしまう人もいるだろう。そんなときは、「無駄を省いて正しいやり方をしよう」と思わず、できることから始めてみるといい。

著者は以前、馴染みのないテーマのセミナーを依頼され、「えいや!」と受けたことがある。その後、ネットで関連する資料や動画を探していたところ、偶然にも旧友がその分野で活動していることを知った。そして久しぶりに連絡を取り、セミナーに役立つ資料を送ってもらえたという。

まずは気負わず簡単な活動から始めてみよう。新しいキャリアのきっかけは、意外なところに転がっている。

気軽に声をかける、質問する
emma/gettyimages

海外では気軽なコミュニケーションが盛んだ。たとえば、エレベーターでたまたま一緒になった見知らぬ人に「良い天気ですね」と話しかけたり、話しかけられたりする。レストランでは、隣の人が食べているものを見て、「おいしそうだけど、そのメニューはどれ?」と聞くこともある。

通りすがりの人とも気軽に会話を楽しむセンス、知らないことは何でも聞く姿勢は、世界で活動する上で欠かせない。日本では、相手の気持ちを察することが美徳だとされる。だが、いろいろな人がいる場合、それぞれのニーズを推測するのは難しい。

著者は大学時代に交換留学で米国に行った際、「あなたはどう思うか?」と問われて、途方に暮れた。だが、相手は専門家の意見を求めているのではなく、著者の感想や好き嫌いを尋ねているのだと気づいた。また、英語の授業では英語がよくわからず、先生に宿題は何かと尋ねていたものの、先生は常に親切に教えてくれたという。これらの経験から、わからないことは質問したほうがいいのだと学び、少しずつ社交性を身につけていった。

質問や意見は、回数を重ねればコツもわかってくる。大げさに考えず、気軽に声をかけてみよう。すると、自分の人生は自分自身で生きているという実感や認識が生まれるだろう。

完璧を目指さない

「完璧の呪縛」とは、「100%できる(わかる)ようにならないうちは、何もできない(したくない、意見を言えない)」という心の状態を指す。完璧を期すること自体は悪いことではない。問題は、完璧を期するべき分野とそうでない分野の峻別ができないことだ。そして、変化の速い時代にテンポが合わなくなることである。完璧にこだわるあまり、「試す、実験する、ちょっとやってみる」というプロトタイピングをしないでいると、時間だけが過ぎ、状況が変わってしまう。

「完璧の呪縛」を脱するコツは2つある。

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要約公開日 2021.10.18
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