印象に残る・心をつかむ・YESをひき出す

「スルーされない人」の言葉力

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「スルーされない人」の言葉力
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「スルーされない人」の言葉力
出版社
出版日
2021年07月31日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

話を聞いてもらえる人と聞いてもらえない人の違いは何か。要約者は学生時代、家電量販店で携帯電話販売のアルバイトをしていた。その方法は少し特殊で、数十人のお客さんを前に、まるでバナナの叩き売りのようにiPhoneのプレゼンをするというものだった。

要約者は入社時研修で、社長のトークを見学させてもらった。社長が話し始めると、お客さんは皆楽しそうに耳を傾けている。さらにすごいのが、トークの後にiPhoneを契約する人がたくさんいたことだ。

次は私の番だ。私が話している途中、チラチラとよそ見をするお客さんが出てくる。しまいには1人また1人と離れていく。もちろんiPhoneを契約する人は誰もいない。

当時は自分の話と社長の話で何が違うのか、よくわからなかったものだ。しかし本書を読むと、社長の話し方がなぜ人をひきつけ、購買へと動かしたのか、明快に理解することができた。社長の話には、映像的なイメージの湧く言葉がふんだんに盛り込まれていたのだ。社長の話を聞いていると、自分がiPhoneを使っている様子が鮮明にイメージできるとともに、iPhoneを使うことによって自分の生活がどう変わるのかも理解できる。だから、おもしろいほどに売れていったのだ。

本書では、ストーリー形式で、人を動かす言葉の編み出し方が学べる一冊だ。本書で学んだ内容は、プレゼンや客先訪問などといったビジネスシーンだけでなく、プライベートでも役立つこと間違いなしである。

著者

ひきたよしあき
博報堂フェロー・スピーチライター
1984年、早稲田大学法学部卒。学生時代より『早稲田文学』学生編集委員を務め、NHK「クイズ面白ゼミナール」では鈴木健二氏に師事し、クイズ制作で活躍。博報堂に入社後、CMプランナー、クリエイティブプロデューサーとして、数々のCMを手がける。
現在は、政治、行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動し、ズバ抜けた文才に、多くのエグゼクティブから指名が殺到している。また、明治大学をはじめ、多くの大学の講義では「就職後まで役に立つ」「一生ものの考える力が身につく」と学生からも支持を集める。慶応MCC、WASEDA NEOをはじめ全国各地のカルチャースクール、企業、自治体、学校での講演活動を行うほか、オンライン学習サイトSchooに登壇するなど、日本語の素晴らしさ、コミュニケーションの重要性をさまざまな角度からアプローチし、広い世代に伝えている。
著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』『「質問力」って、じつは仕事を有利に進める最強のスキルなんです。』『20代だから許されること、しておきたいこと』(ともに大和出版)、『大勢の中のあなたへ』『ひきたよしあきの親塾』(ともに朝日学生新聞社)、『短くても伝わる文章のコツ』『口下手のままでも伝わるプロの話し方』 (ともにかんき出版)、『人が動きたくなる言葉を使っていますか』(大和書房)などがある。
オフィシャルHP:https://smilehikita.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    「私は○○しました」といったふうに主語を入れて話すだけで、言葉に存在感が増す。
  • 要点
    2
    「マジック3フォーマット」を使えば、脱線せずに話すことができる。1つのテーマに対し、中項目では「3つの論点」で述べ、そしてその中項目の1つを、また小項目の「3つの論点」で述べる。
  • 要点
    3
    聞いている人をワクワクさせるためには、「物語共有シート」の順番で話すとよい。すると、相手の共感を生み、深く記憶に残るプレゼンとなる。

要約

【必読ポイント!】 ステップ1:「自己理解」を深める

「私は」と主語を入れて話す
takasuu/gettyimages

中田晴(はる)は、大手スーパーマーケット「ダイワ・フーズ」に勤めるバイヤーだ。売れそうな食品や食材を見つけ、商品として店頭に並べるのが仕事である。生産者との交渉や社内プレゼン、販売方法の立案などといったあらゆる場面で、コミュニケーション力が求められる。

そんな晴は、「発言がスルーされる」という悩みを抱えていた。素晴らしい食品を見つけ、会議でプレゼンをしても通らないのだ。今回も、ビール酵母の液肥と天然肥料で育てた甘いたまねぎを見つけてきたのに、プレゼンでは「とにかく、いいんです!」と幼稚な発言しかできなかった。部長からは「中田、俺にスルーされるような説明で、どうやって店頭スタッフやお客様を納得させるんだ。そこまでいかなければ、お前は存在していないに等しいんだぞ」と言われてしまった。

リモート会議を終え、ぐったり落ち込んでいる晴の前に、昔飼っていた愛犬のエドが突然現れた。エドは晴が大学生のときに亡くなったのだが、晴を「スルーされない人」にするための知恵を授けるべく、過去から戻ってきてくれたようだ。

まずエドは、晴の言葉に「私」という主語がないと指摘した。晴の会議での発言「ビール酵母で育てたたまねぎ、マジ、うまいっす。甘いつぅか、もっと奥行きがあるっていうか」には、主語がないため、どこか人ごとのように聞こえる。「私、実際に食べてみました。ビール酵母の液肥で育てたたまねぎ、マジ、うまいっす。甘いつぅか、もっと奥行きがあるっていうか」と言ってみるだけで、言葉に存在感が増すはずだ。

相手の頭の中に、印象的な写真を貼り付ける

さっそく会議で主語を入れて話してみたところ、みんなが晴に目を向けた。効果があるようだ。

しかし、課題はまだまだある。「中田晴らしさ」を発見するにはどうすればいいか、ということだ。

エドのアドバイスは、過去のアルバムの中から、みんなに「中田晴の個性」として覚えてもらえるような写真を探し出してみることだ。料理が好きな晴は、お母さんとカレーをつくっている写真を見つけ出した。

次に、その写真を見ながら「中田晴の物語」をつくってみる。ここで大切なのは、料理が好きになった理由である。「私は小さい頃から料理が好きでした。母と台所に並んで、母が煮物をしている間にジャガイモの皮を剥いたりしていました。母に『上手ね』なんて言われると嬉しくなったものです」といった具合だ。

そしてそれに今の状況を付け加える。「今でも料理が好きです。キャベツの千切りでストレス解消をしています」。これを自己紹介で話したり、SNSに投稿したり、毎日お弁当を持っていったりして、料理好きをアピールすれば、「料理好きの中田晴」というイメージがついてくるだろう。

「料理好きなら結構アピールしているよ」と思うかもしれない。しかし「料理が好きな中田晴」と「ストレスが溜まるとキャベツの千切りをする中田晴」ではどちらが人の頭に残るだろうか。

アピールを続けるうちに、新レシピの相談や新商品の味見の話などが自然とやってくるようになるだろう。このように、相手の頭の中に自分にとって有利な印象を残す写真を貼り付けることで、自分らしさを生かせる仕事ができるようになる。

「○○しばり」で自己紹介の切り口を増やす
Prostock-Studio/gettyimages

それでも晴は、自分を表現するのが苦手だ。特に自己紹介は苦手である。

そんな晴に、エドは「○○しばり」で自己紹介するように言う。

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要約公開日 2021.09.08
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