いちいち悩まなくなる 口ぐせリセット

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いちいち悩まなくなる 口ぐせリセット
出版社
出版日
2021年06月15日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「無くて七癖」というけれど、口ぐせについても同じだろう。本人はあまり意識していなくても、つい口にしてしまう言葉はあるものだ。

なかには「どうせ、私なんて……」といった、やたらに自己を卑下して周囲を暗くするようなものもある。「だからー(、言ってるじゃないか)」といった攻撃的なものもあるだろう。こうしたネガティブな口ぐせはしばしば、責任を回避したい気持ちや自信の無さ、反対に自信を反映している。

本書は口ぐせを「長年自分を守ってきた“鎧”」と例える。問題はネガティブな口ぐせが、現実にネガティブな状態を呼び寄せるケースがあることだ。

例えば、何かのきっかけで「自分はダメだ」が口ぐせになったとする。最初は「ダメだけど、いつかよくなる自分」という自信の裏返しだったものが、いつの間にか「何をやっても本当にダメな自分」というイメージにすり替わるようなケースだ。それにもかかわらず自分を卑下することが妙なプライドとなり、無意識に周囲を見下すような態度を取ってしまうことさえある。

かといって、何でもポジティブな口ぐせに変換すればいいというものではない。口ぐせはいつの間にか心の奥底に根差しているものであり、手放すことは容易でない。

たかが口ぐせ、されど口ぐせ。もし古い口ぐせを手放し、新しい口ぐせを身につけることができたら、人生が変わるかもしれない。本書は、そうした口ぐせとのつき合い方を教えてくれるマニュアルだと言える。

ライター画像
しいたに

著者

大嶋 信頼(おおしま のぶより)
心理カウンセラー/株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。
ブリーフ・セラピーのFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研究生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室長を経て、株式会社アイエフエフ代表取締役として勤務。心的外傷治療に新たな可能性を感じ、株式会社インサイト・カウンセリングを立ち上げる。多くの人が自由に生きられることを目指し、治療を行っている。臨床経験のべ9万件以上。
著書に『チクチク・いやみ・理不尽と感じる「ほんのひと言」に傷つかなくなる本』(大和書房)、『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(すばる舎)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    “口ぐせリセット”は、言葉に影響されやすい人が迷い込むネガティブなスパイラルから抜け出す助けとなる。口ぐせを大きく変えることで性格も人生も好転していく。
  • 要点
    2
    「普通は~」「基本は~」「世間では~」といった口ぐせは「自分は世間一般と同じ感覚で“普通”だ(、だから正しい)」という主張につながる。しかし、その普通は社会の“普通”とは限らず、押し付けがましい印象を与えかねない。
  • 要点
    3
    「ムダ」「ダメ」「ダカラ」といった“ダ”がつく口ぐせは要注意だ。相手の基準を否定し、無理に自分の基準を通そうとする言葉である。

要約

口ぐせを味方につける

口ぐせリセットの効用

言葉は人間の心理に大きな影響を与える。特に強く影響されやすい人として、①コミュニケーションを苦手とする、②人間関係で緊張してしまう、③人とは違う点にこだわりをもつという3つのタイプが挙げられる。

“口ぐせリセット”は、これらのタイプの人間が迷い込むネガティブなスパイラルから抜け出す助けとなる。

言葉に影響されやすい人は、ポジティブなスパイラルに入る口ぐせの効果も絶大だろう。口ぐせをガラリと変えることによって、性格も人生も好転していく。

自己卑下の口ぐせ

「私なんて……」、「私イケてないな……」、「サイアク!」と「あえて自分を卑下する」心理的理由の一つに、不快な思いの“予行演習”がある。

例えば身につけている物に自信がもてないときに、あらかじめ「イケてない」としておく。すると、他人からそれを指摘されても想定内としてストレスが軽くて済む。自己卑下の口ぐせにも相応の理由や効能はある。

しかし口ぐせを続けることによって暗示的に、「イケてない自分が本当の自分」になってしまう恐れもある。「イケてない」「サイアク!」な自分を避けるための口ぐせのはずが、使えば使うほど定着し、自分を貶めてしまう。

人を遠ざける口ぐせ
takasuu/gettyimages

「普通は~」「基本は~」「世間では~」といった言い方が口ぐせになっている人も少なくないだろう。こうした言い方は、「自分は世間一般の人と同じ感覚で、“普通”なことを言っている(、だから正しい)」ということを主張している。

しかし、この“普通”とは、その人にとっての“普通”であって、社会共通の“普通”とは限らない。

人との会話でこれが口ぐせになっていると「自分の価値観を押し付けるウザい人」、「思い込みの激しい独りよがりの人」という印象を植え付けてしまう。

口ぐせは自分を守る“鎧”の役割を果たしている。その下に貧弱で弱い自分が隠れてもいる。

朝の一言

口ぐせで変わるのは、気持ちや評価、周囲との関係といったことばかりではない。身体の疲労度にも影響する。

ある女性は、朝起きたときに「寝ても疲れが取れていない」「ものすごく体がだるい」と言い、一日中その気分を引きずっていた。そして全てを「やっとこなしている」毎日だったという。

そこで、この「だるい」という口ぐせを「癒される」に変えた。不自然でも、寝起きに「癒される」と言うようにしたのである。

すると、「寝て起きたら、昨日の嫌なことを引きずっていない」と思えたという。朝一番で「癒される」と言うと、夜ぐっすり眠れた気分になったのである。

日中忙しく立ち働いていても、一息ついてソファーに座って「癒される」とつぶやいてみる。すると、再び全身の筋肉がほぐれ、ほんの30秒座っただけで体力が回復してくるのを感じたそうだ。

【必読ポイント!】 人間関係と口ぐせ

なんであの人は?

「人の悩みはすべて対人関係のせい」とする心理学もあるが、心地よい人間関係を維持するのは難しい。人間関係において避けたい口ぐせもあれば、反対に人間関係を好転させる口ぐせもある。

「なんで、あの人はあんな失礼なことを言うんだろう?」。カチンとくることを言われ、「なんであの人は?」という問いが、頭の中でぐるぐる回ってしまうことはないだろうか。そうすると相手の意図を邪推するようになり、最後にはその人を憎むようにさえなってしまう。

そんなときにすすめたい口ぐせは「もちろん~」だ。

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要約公開日 2021.09.29
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