日本の会社で働いている人の多くは、ストレスを感じている。特にストレス源になっているのが組織の中に存在する「同調圧力」である。
同調圧力が強いのは、日本人の国民性であり、「和」を大切にする組織であることが原因である。集団で「和」を保とうとすると、「個性」や「希望」が抑制されてしまうのだ。
会社で働く多くの日本人は、同調圧力に逆らわず、スパイト(いじわる)行為を受けないように意識して行動している。そこで今までとは違うやり方をしたり、意見を言ったりすると、同調圧力により周りの反感を買ってしまう。
組織でできるだけストレスなく働くためには、自分もスパイト感情を抱かないようにすること、そしてスパイト行為をしないようにすることが大切だ。
「類は友を呼ぶ」という言葉通り、スパイト行為をする人の周りには、同じような人が集まり、グループが形成される。
そのグループに入るかどうかは自分次第である。グループに入らなければ独りぼっちになるリスクがある。一方、グループに入っても強い同調圧力が存在する可能性が高い。“つかず離れず”のスタンスでいたほうが長い目で見ればストレスは少ない。ときには、「嫌われてもよい」と開き直ることも有効だ。
この20年で、「過緊張」の状態に陥り、メンタルの不調や体調不良を訴える人が増えている。過緊張とは、「自律神経の交感神経が過剰に緊張した状態」のことだ。
アクティブに活動するときは、心身を緊張させる交感神経が優位になる。反対に、心身をリラックスさせて穏やかな眠りにいざなうためには、副交感神経が優位になることが必要だ。この調整がうまくいかず、交感神経による緊張が長く続いてしまう人が急増している。
過緊張が悪化すると、寝つけない、仕事の夢ばかり見て何度も目が覚める、わずかな時間しか寝ていないのに目が覚めてしまい眠れないなどの不眠の症状が起こる。これが週に何度も起こるようになると、やがて「抑うつ状態」に移行してしまう。もはや、うつ病の一歩手前だ。
過緊張が働く人に蔓延するようになったのには理由がある。まずは、急速なIT化による過度な効率化だ。日常から“スキマ時間”がなくなり、心身の余裕が奪われてしまったのだ。業務の密度が上がりすぎたことにより、過緊張が誘発されている。
さらに携帯電話やメール、チャットを通じて、昼夜関係なく連絡を取ることが可能になった。そんな状況がONタイムとOFFタイムの境目を消してしまったのだ。本来ならOFFであるはずの夜や休日であっても、仕事から離れられない人が増えている。
そこで過緊張になりがちなビジネスパーソンにすすめているのが、意図的に「緩み時間」を増やすことである。緩み時間とは、意識的に副交感神経を活性化させる時間のことを指す。
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