気にしない練習

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気にしない練習
出版社
出版日
2014年12月19日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「気にしている人に、気にするなと言うのは酷な話」――本書の冒頭の一節だ。

まさにその通りである。要約者自身、人一倍さまざまなことが気になってしまう性格であり、よくわかる。「気にする必要はない」「気にしても仕方がない」と、周りから何度言われただろう。気にしていても何も解決しない。それはわかっているが、性格の問題だからどうにもならない。そう思ってきた。

本書の著者は、密蔵院住職の名取芳彦氏である。著者は、気にしてしまうことは必ずしも悪いわけではないという。自分のため、他人のために気にしたほうがいいこともたくさんあるというのだ。一方で、気にしてはいけないのが、自分がみじめになるようなネガティブなことである。しかし、人はそういう記憶に限って心に焼きつけてしまうものだ。

本書は、仏教をベースに、かつてはいろいろなことを気にしていた著者自身の経験や、出会った人たちの具体例をあげて、「気にしてしまう」状況に置かれたときの向き合い方を紹介している。それにより、自らを「気にする」呪縛から解放することができるのだ。

勘違いしてはいけないのは、気にする人が必ずしも繊細なわけではないということだ。欲張りであるがゆえに気にしてしまうことも少なくない。本書を読むと、なかなか気がつくことができない自分の本音と向き合える。まずはその欲を手放し、心おだやかに生きる道を探ってみたいと思う。

ライター画像
中山寒稀

著者

名取芳彦(なとり ほうげん)
1958年、東京都江戸川区小岩生まれ。密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所研究員。豊山派大師講(ご詠歌)詠匠。密蔵院写仏講座・ご詠歌指導など、積極的な布教活動を行なっている。
主な著者に、ベストセラーとなった『般若心経、心の「大そうじ」』のほか、『実践編 般若心経 こだわらない生き方』『「正しいこと」にとらわれなくても大丈夫』(以上、三笠書房≪知的生きかた文庫≫)、『心がすっきりかるくなる般若心経』『3日間で驚くほど心が晴れる本』『煩悩力』など多数がある。
日本テンプルヴァンHPにて「名取芳彦のちょっといい話(全200話)」も好評。

本書の要点

  • 要点
    1
    人は、写真のように場面の一部分だけを切り取って記憶するクセがある。誤ってネガティブな場面を心に焼きつけてしまったら、別の角度から撮った被写体と交換すればいい。
  • 要点
    2
    自分のことをわかってもらうよりよい方法は、自分が相手のよき理解者になることである。
  • 要点
    3
    みんなに好かれたいと思っている人は、人をガッカリさせることを恐れるよりも、人の評価が気になって仕方がない自分にガッカリするべきだ。

要約

「気にしない人」になるためのヒント

「気にすること」と「気にしないこと」を分ける

何かを気にしている人に、気にするなと言うのは酷な話だ。気にしてしまうのはどうしようもないことだし、「人の気も知らないで」と怒り出す人もいるかもしれない。

人は多くの場面で、写真を撮るように、一部分だけを切り取って記憶するクセがある。被写体に何を選ぶかは、その人次第だ。運動会のかけっこであれば、スタート前の緊張している子を被写体に選ぶ人もいるし、一等でゴールする子を切り取る人もいる。写すべきではない被写体にシャッターを切り、心に焼きつけてしまう人もいる。みじめな自分や怒っている自分、屈辱を受けた瞬間にシャッターを切って、人を恨み続ける人もいるだろう。

人生には、記憶に留めるべきカットもあれば、そうでない情景もある。自分を高め、他人を安心させることは気にしたほうがいいが、気にしても自分が向上しないこと、自分をみじめにすること、自分の力ではどうしようもないことはさっさと忘れてしまったほうがいい。

【必読ポイント!】もっと「鈍感力」を磨く

心おだやかな生き方を目指す
AsiaVision/gettyimages

道徳は「いい人になりましょう」と説くが、仏教は「心おだやかな境地を目指すこと」を説いている。心おだやかな境地を目指したい心を菩提心(ぼだいしん)という。菩提心を土台として具体的な生活方法を説く「戒」は、自主的に守ろうとする項目だ。戒を破ったところで罰せられることはない。

「十善戒」は、些細なことが気になり、心おだやかでいられない人のための「遠ざかったほうがいい悪いことの十カ条」である。むやみな殺生、時間を含めた盗み、男女のよこしまな関係、嘘、きれいごと、乱暴な言葉づかい、人の悪口、物惜しみ、怒り、誤った見方の10種だ。つまり、心おだやかになるために必要なのは、できるだけ悪いことから遠ざかることであって、積極的に何かをすることではないのだ。

誰かからの評価ばかり気にすると、心おだやかではいられない。いい人、悪い人という価値観から離れ、心おだやかな生き方を目指したいものだ。

いい子になろうとしない

人づき合いをすれば、相手の気持ちが気にかかる。だが、相手にどう思われているかを極端に気にする人は、よく思われたい以上に、悪く思われたくないのではないだろうか。

もちろん、人に嫌われたいと思う人はいないだろう。しかし、自分をどう思うかは、相手の心の問題であり、コントロールすることはできない。それをコントロールしようとすると、媚びへつらい、ユーモアのある自分をアピールするなどして、「いい子」になろうとする。その結果、疲れてしまうのだ。

少年だったころの著者も、いい子になろうとしていた。しかし、僧侶というやりがいを見つけてからは、人から嫌われないようにしたり、無理に好かれる努力をしたりすることもなくなった。人からの評価よりも自分がやっていることに夢中だからだ。

人からどう思われているかが気になる人は、自分のやりたいことを見つけて、その道で努力するといい。

「一歩ひく」ことを覚える

人はそれぞれ違った価値観を持っている。家族でさえそうなのだから、それ以外の人とは違って当たり前だ。

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要約公開日 2021.08.14
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