どのような「考え方」を選択するかによって、人生は素晴らしいものにもなれば、壊れてしまうことにもなる。困難に直面した時に選択される判断は、自分の「考え方」から生じる。1つひとつの判断が集積されたものが、人生の結果となって現れるのだ。
著者には、「人生・仕事の結果=考え方✕熱意✕能力」という、人生の方程式がある。それほど裕福ではない家に生まれ、入学試験や就職試験にことごとく失敗し、多くの挫折を経験したことで、人並みな能力しか持たない自分が人並み以上のことを成し遂げるためにはどうすればいいのかと、悩んだ末に導き出された方程式だ。
この方程式は、「能力」「熱意」「考え方」という3つの要素から成り立っている。「能力」の多くは生まれつき備わっているもので、勉強や運動が苦手な人もいれば、運動神経が発達し、勉強の成績も良い人もいる。この「能力」に掛かる要素が「熱意」であり、「努力」と言い換えてもいい。「熱意」にも個人差があるが、「能力」と異なり、自分の意志で決められる。自分は能力がさほど高くないと自覚するのであれば、誰よりも情熱を持って努力をすることで、能力があっても努力をしない人よりはるかに素晴らしい結果を残せるだろう。
さらに、「考え方」という要素が掛かってくるが、これは、その人の思想、哲学、理念、信念、人生観、人間性などを意味する。この「考え方」が最も重要な要素となる。「能力」と「熱意」が0点から100点まであるのに対して、「考え方」には、悪い考え方から良い考え方まで、マイナス100点からプラス100点までの大きな振れ幅があるからだ。
どんなに才能があり、熱心に仕事をしても、「考え方」が間違っていては、人生の結果は決してよいものにはならない。言い訳と不平不満ばかり言い、他人や世間を妬み、まともな生き方を否定するような「考え方」を持つなら、結果はマイナスとなってしまう。それどころか、「能力」や「熱意」が大きいほど、いっそう大きな負の結果を残すことになるだろう。
一方で、どれほどの苦難に直面しても、前向きな明るい心で受け止め、さらに努力を重ねていこうとするプラスの「考え方」をすれば、能力が多少劣っていたとしても、素晴らしい人生の結果を得られるようになる。これは、個人の幸福だけでなく、会社の幸福にも同様に当てはまる。
日本航空は「日本を代表する航空会社」なのだと、幹部社員たちはいつの間にか傲慢になっていた。著者はそのような態度をとる幹部社員には厳しく叱責し、人間としての「徳」のレベルについて、朝から晩まで必死に説いていった。現場の最前線も回って、一人ひとりの社員に直接語りかけることもした。こうして、「考え方」が次第に全社員に浸透していくことで、業績が飛躍的に向上していったのだ。
幹部社員は能力を持つエリートだったが、人間としての正しい「考え方」など気に留めることはなく、組織全体が「人として大事なこと」をないがしろにしていたために、お客様を大切にせず、経営破綻した。心を失い、能力だけがある人は、才に溺れ、必ず失敗する。
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