著者の母は、健康的に暮らしていたものの、パーキンソン病とアルツハイマー病、そして膵臓の腫瘍の闘病生活の末に亡くなった。それを機に、病の原因は何だったのか、予防の手立てはあったのか、自分自身が今後健康に長生きするにはどうすればよいかを考えるようになった。
疾患の発症リスクは遺伝要因とともに環境要因も考慮する必要がある。1960年代には20人にひとりだった女性の乳がん罹患率は、今では8人にひとりにまで上昇しているという。だが、その間遺伝子に変わりはなく、一方で食生活や生活習慣、化学物質をはじめとして、人間を取り巻く環境には大きな変化があった。そこで著者が提案するのが、人間の健康を損なうような環境要因や生活習慣を改善する「ジーニアス・ライフ」だ。
現代人が直面する心身の不調を解消するには、脳とからだと環境の関係を修復することが重要だ。からだは脳に影響を与え、そのからだは環境の影響を受ける。かつて遮断されているものと考えられてきた脳とからだは、近年の研究によって密接なつながりがあることが明らかになった。代謝の異常による炎症が不安や精神の疲労を引き起こしたケースや、逆に炎症を抑えることで抑うつが改善されたケースもある。
過去数百年の環境の激変により、現代人のからだと脳には多大な負担がかかっている。だが、環境を整えることによって、がんや認知症といった疾患を予防することが可能であるというのが著者の考えだ。
「ジーニアス・ライフ」の基盤は食事だ。現代の加工食品に用いられる精製済みの穀物や食用油、必須栄養素が失われた食品は、脳とからだの健康を大きく損なってしまう。私たちの脳が強く求める砂糖、脂肪、塩分を含むこれらの食品は、まるでポルノのように依存性を招く。
3,400冊以上の要約が楽しめる