私たちの脳には沢山の情報が届くが、一度に処理することができない。ある研究によると、1秒に届くおよそ200万ビットの情報のうち、処理して認識できる情報は、多くても1秒に2000ビットだという。つまり入力された情報の約1000分の1しか処理できていない。脳が処理を行う対象について、ある程度自分の意思で、取捨選択しなければならない。
何も意識しないと、脳は「外側の情報」、そして「ネガティブな情報」に向きやすい。「外側の情報」とは対人関係や仕事、TVやPCなど、自分の外にあるものから得られる情報である。
一方で内側の情報とは、お腹が空いた、将来何をしたいか、など自分の中に注意を向けたときに得られることである。「学び」を蓄えるためには、自分の内側に注意を向ける時間を意識的にもつ必要がある。
「ネガティブな情報」に意識が向きやすいのは、人類の進化の歴史において、ネガティブなことに敏感になることで危険を避けて暮らしてきたためと考えられている。そのため、ネガティブな情報は半自動的に入ってくるが、ポジティブな情報は意識的に取り込もうとする必要がある。
このような脳の傾向を「ネガティビティバイアス」と呼ぶ。この特性は、人類に備わっているものだ。正面から抵抗するのではなく、自然な反応として受け入れつつ、ポジティブなことに目を向ける姿勢が大切である。
ストレスとうまく付き合うために押さえるべき3つのポイントがある。
1つ目は、「ストレスには、ポジティブな面とネガティブな面がある」ということだ。本書では、私たちを悩ませ、苦しませ、うつ病の原因となるようなストレスを「ダークストレス」と呼んでいる。一方、締め切り前に生産性が上がって仕事を達成するなど、成長や幸せに貢献するストレスを「ブライトストレス」と呼ぶ。
2つ目は、「自他のストレス反応を同一視しない」ことである。ストレス反応の違いは生まれもったDNAの違いや今までの経験による。自分のストレス反応を相手にも当てはめないことが大切である。
3つ目が「自分のストレス反応に寄り添う」ことである。前述した通り、ストレス反応は人により異なるため、ストレスを味方につけて成長するためには、自分自身のストレス反応と向き合い、対応していくことが必要だ。
神経科学では、一般的な脳や全身反応の仕組みについては解明できるが、それぞれが何にどういったストレス反応を示すかということまでは分からない。本書では、自分自身のストレス反応を確認するためのエクササイズが用意されている。
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