「幸福になる方法」を見出すには、まず「幸福とは何か」を考え、定義しなければならない。幸福の定義にはさまざまなアプローチが考えられるが、ここでは精神医学、脳科学に基づき、「実用のための幸福」を考えていく。
私たちが幸せを感じるとき、脳内では100種類以上の幸福物質が分泌されている。その中でも、日常的な幸福感を構成する物質として、「ドーパミン」「セロトニン」「オキシトシン」の3つに注目したい。これらは3大幸福物質と呼ばれる。
ドーパミンは胸がドキドキするような高揚を、セロトニンは穏やかな気持ちを、オキシトシンは愛に包まれた幸福感をもたらす。脳内でこれらの幸福物質が出た状態が「幸せ」であり、幸福物質を出す条件が「幸せになる方法」とするならば、ドーパミン、セロトニン、オキシトシンの分泌される条件や行動を突き止めるのが重要ということになる。
私たちが感じる幸福は、心身の健康に関する「セロトニン的幸福」、つながりと愛情に関する「オキシトシン的幸福」、成功や達成による「ドーパミン的幸福」に大別できる。
しかしこれら3つの幸福を、すべて手にしている人は少ない。なぜならそこには「セロトニン的幸福>オキシトシン的幸福>ドーパミン的幸福」という、明確な優先順位があるからだ。そこを取り違えると幸福になるどころか、不幸になりかねない。
たとえば、身体を壊してまで仕事を頑張ろうとする人がいる。これはセロトニン的幸福をないがしろにして、ドーパミン的幸福を追求している状態だ。これではメンタル疾患や身体疾患を引き起こし、不幸になってしまう。
また、家族との時間をないがしろにし続ける仕事人間も、オキシトシン的幸福よりドーパミン的幸福を優先させている。どれだけ仕事で成功しても、家族から毛嫌いされては幸福とは言えないだろう。
さらに、人とのつながりも健康であってこそだ。セロトニン的幸福を失うと、連鎖的に他の幸福も失われてしまう。
このように、幸せは「セロトニン的幸福>オキシトシン的幸福>ドーパミン的幸福」の3段階で積み上げられるものである。セロトニン的幸福とオキシトシン的幸福は、幸福の基礎となる部分だ。基礎がしっかりしていなければ、頑丈な建物は立てられない。
ここからは3つの幸福が具体的にどんな状態で、どんな気分なのかを詳細に説明していく。
セロトニン的幸福は、
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