SNS上で、文脈にそぐわない切り取られ方をされて叩かれる人が増えている。そこにはどのような構図があるのか。
まず「発信者」が情報を発信する。この人は「Aという業界・文脈の人」で、「(Aの業界ではよく知られる)Bという事例」を知った上で「Cだ!」と発言をする。Aを知るには体系だった知識が必要で、Bは検索すればすぐ出る事例だ。
Aを知る人ならBとCの区別はつくが、そうでなければ見分けるのが難しい。ABCをよく知る「理解者」たちは日々考えながらAを練り上げており、さらにDまで知る「詳しい人」たちは、新しい切り口や情報を提供してくれる。
フォロワーが少ないうちは建設的に話が進むが、徐々にCを知ったことを誇りたい「自称情報感度の高い人」たちが増えてくる。彼らは自分の中で考えを反芻しないため、ABを無視してCに飛びつく。
この動きが顕著になると、それを快く思わない「意識高い嫌い」や、Aに疎くBとCの区別がつかない「エセインテリ」が出てくる。「エセインテリ」は自分の専門分野の知見で頭がいっぱいなので、自分の価値観でマウンティングをしてくる。
本を一冊読めばわかるようなメッセージがSNSで炎上するきっかけは、「意識高い嫌い」がネタとして喋り始めるか「エセインテリ」の誤解のあるマウンティングであることが多い。
良い情報発信者になる秘訣は、「理解者」、「詳しい人」の仲間を増やしていくことだろう。
学校や会社の集まりで、暴言を吐いたり陰口を言ったりする人がいたら「空気悪くなるし、そういうことはやめよう」と誰かが注意するだろう。皆が過ごしやすい場所にしようとする努力が社会を作ると、私たちは小学校の時に教わったはずだ。
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