ストレスの9割はコントロールできる

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ストレスの9割はコントロールできる
著者
出版社
明日香出版社

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出版日
2020年09月20日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「ストレスはありますか?」という質問には、ほぼ100%の人が「YES」と答えるのではないだろうか。ストレスはあまりに身近な存在で、私たちは常に「ウィズ・ストレス」な生活を送っている。

適度なストレスは脳を活性化する、という学術的見解もあるが、あまりに増えすぎたらどうなるか。本書の著者である鎌田敏氏は、バブル経済の崩壊によるリストラ、阪神・淡路大震災など、数々の「想定外の出来事」に襲われる中、パニック障害を発症して長く苦しんだ経験を持つ。しかしその後「人生は心のあり方ひとつでガラリと変わる」ことに気づき、今ではメンタルヘルス講師として全国各地で講演・研修活動を行っている。

長引くコロナ禍において、ゴールの見えないマラソンを延々と走らされているような状況に、心身ともに疲弊している人は多いだろう。しかし、それでも前を向いていかなければならないのが人生だ。ならばできるだけ楽しみながら、ポジティブに生きたいと思うのが人情だろう。

本書では、ストレスを溜めないための考え方や行動習慣、心身を整えるコツなどが、テンポよく紹介されている。著者は、コントロールできることにフォーカスすることが、ストレス管理のポイントであると説く。「想定外の出来事」や「他者」はコントロールできなくても、自分の心持ちはコントロールできる。日々の生活が少しでも楽しいものになるように、ストレスフルな毎日を送るすべての方に届いてほしい一冊である。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

鎌田敏(かまた びん)
こころ元気研究所所長
(株)エンパワーコミュニケーション代表取締役
産業カウンセラー、心理相談員、認定コーチ
日本産業カウンセラー協会正会員

「こころ元気配達人」として全国各地で講演・研修活動を行う人気講師。講演・研修回数は2000回を超え、延べ30万人以上の方々が受講。リピートや口コミでの依頼が絶えない。

神戸大学卒業後、不動産会社に入社と同時にバブル経済の崩壊、いきなりリストラを経験。さまざまなアルバイト経験ののち、神戸大学大学院に進むが、卒業時に阪神・淡路大震災が襲う。その後、コンサルタント会社、広告代理店にて技術職、営業職、管理職に携わる。その間、パニック障害が発症し、格闘しながらの日々が続いた。

いくつもの想定外の出来事を通して「人生は心のあり方ひとつでガラリと変わる」「自分から変わろうとすることで扉は開く」ことに気づき、すべての世代の笑顔と元気の応援団、明るく元気な職場づくりの応援団として、2005年に「こころ元気研究所」を設立。メンタルヘルス講師の活動を始める。

現在はメンタルヘルスにとどまらず、コミュニケーション、モチベーション、リーダーシップ、組織活性化などについて、企業、商工会議所、労働組合、青年会議所、行政、学校・PTA、医療・福祉団体から講演依頼をいただいている。受講者は毎年2万人以上。

こころ元気研究所
http://cocorogenki.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    ストレスは日常のちょっとした行動や気持ちに紛れている。小さなストレスサインを見逃さず、早めに対処していくことが重要だ。
  • 要点
    2
    苦しみや悲しみの感情を手放すためには、「『今、ここ』に集中する」「目標に集中し、行動する」「ポジティブな宣言をする」の3つの方法が効果的である。
  • 要点
    3
    相手をコントロールすることはできないが、関係性は変えられる。人間関係に悩んだら、相手との距離感にフォーカスしてみよう。

要約

ストレスサインを見逃すな!

心と身体の声に耳を傾ける

著者は、パニック障害による発作に襲われて、救急車で病院に運ばれたことがある。身体からの「小さな悲鳴」が聞こえていたのに、「ちょっと疲れているだけ」「栄養ドリンクを飲めば大丈夫」と無視しているうちに、発作という「大きな悲鳴」になってしまった。

朝目覚めたときから疲れを感じる、イライラすることが多くなった、なぜか涙が出る、お酒の量が増えた、動悸がする、人と会うのが億劫になった……このように、身体の小さな悲鳴は、日常のちょっとした行動や気持ちの中に紛れている。心と身体の声に耳を傾け、早めにキャッチして対処するようにしてほしい。

ストレスの段階的反応と対処法
Chinnapong/gettyimages

ストレス反応には段階があり、それぞれに応じた対処が必要である。

たとえば、人前でスピーチをすることになったとしよう。スピーチは、ストレスを引き起こす原因、「ストレッサー」になりえる。だが、スピーチをすると聞いて「目立つチャンスだ」とワクワクする人もいれば、「緊張する」と憂鬱に感じる人もいるはずだ。同じストレッサーでも、それを受け止める「認知」は人によって違う。

スピーチを憂鬱に感じた人は、スピーチの時間が近づくとドキドキし、手のひらに汗をかき、ソワソワしてウロウロしはじめ、ますます憂鬱になって逃げだしたくなるかもしれない。この場合、スピーチが近づいてドキドキすることを「情動的興奮」、その後、手のひらに汗をかいたりウロウロしたりすることを「身体的興奮」という。ストレス反応は、ストレッサー→認知→情動的興奮→身体的興奮という段階を経る。

「ストレッサー」の対処法は「改善」だ。ここでは、「スピーチの練習をする」「他の人に代わってもらう」などが該当する。

次の「認知」では、「受け止め方を変える」というアプローチが有効だ。スピーチを「上達する機会」「多くの人に自分を知ってもらうチャンス」などと、前向きに受け止める。

続いての「情動的興奮」や「身体的興奮」には、リラクゼーションがいい。深呼吸やストレッチなどを行い、ストレス反応に対処する。

ストレッサーには、コントロールできるものとできないものがある。取引先の相手にミスを何度も指摘されて怖くなり、苦痛を感じているとしよう。「改善」としては、ベテランの先輩に同行訪問してもらう、ミスを繰り返さないように丁寧に仕事をする、場合によっては担当を代えてもらうことなどが挙げられる。一方で、取引先の相手に、ミスを指摘しないようにお願いすることはできない。

まずは対処できるものを明確することが大切だ。

ストレスの正体

あなたが何かにストレスを感じたとき、本当の原因は別にあるかもしれない。

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要約公開日 2021.07.14
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