食生活を変えたい、ダイエットを成功させたい、もっと運動したい……著者はそんな「変化を起こしたい」という願望と、20年にわたって向き合ってきた。誰しも、変化を起こしたいのにサボってしまうことがあるものだが、それはあなたのせいではない。問題はアプローチにある。
変化を起こすために必要なのは、次の3つだ。
(1)自分自身を裁くのをやめる。
(2)目標を決め、「小さい行動」に分解する。
(3)過ちを発見として受け入れ、前進するために役立てる。
変化を起こしたいとき、忍耐力や数値目標、自分へのごほうび、期限などは不要だ。「習慣」の本質を知り、正しくアプローチしよう。
著者は本書で、行動を起こすためのメソッドとして「タイニー・ハビット(小さな習慣)」を提唱する。たとえば彼は、健康的な生活を送るために「トイレから出るたびに腕立て伏せを2回する」というタイニー・ハビットを試してみた。ばかげているように見えるかもしれないが、この習慣は絶大な効果を発揮した。逆に「毎日、昼食にオレンジを食べる」のように、合理的だと思えたのにうまくいかないものもあった。
そうした試行錯誤を繰り返すうちに、体重は大きく減り、かつてないほど生産的に仕事ができるようになった。新たな習慣のほとんどは小さなものだが、一つひとつが合わさり、大きな変化につながったのだ。
タイニー・ハビットこそ、自分を変えるのにもっとも手っ取り早く、簡単な方法である――その確信のもと、著者はこのメソッドを提唱するようになった。
タイニー・ハビットのポイントは、「あなたが望む行動を一つ選び、それを『小さい行動』に分解し、生活の中で自然に組み込める場所に植え、成長させる」だ。
たとえば「1日30分の運動」を新たに習慣化させようとすると、忙しさのあまりうまくいかず、そのプレッシャーで焦燥感を覚えるかもしれない。一方、30秒もかからずにできる「小さい行動」に絞れば、すぐに生活に取り入れられ、失敗したときのリスクを心配する必要もない。そして小さい習慣は、やがて大きい習慣へと成長していく。
タイニー・ハビットは、「アンカーの瞬間」「小さい行動」「祝福」の3つから成る。「アンカーの瞬間」とは、すでに習慣となっている日課を「アンカー(錨)」として、「小さい行動」をすることを思い出す瞬間だ。「トイレから出るたびに腕立て伏せを2回する」においては、トイレから出ることがアンカーとなる。続いて「小さい行動」は、「腕立て伏せを2回だけ行う」のように、身につけたいと思う新しい習慣を簡単にした行動のことで、「アンカー」の直後に実践する。最後の「祝福」は、ポジティブな感情を生み出す行動だ。「よくできた!」と言うなどして、「小さい行動」を取った直後に自分を褒める。
著者のイベントに参加したケイティは、毎日退社する前にデスクをきれいに片づけるという、生産性向上につながるいい習慣があった。一方、朝起きてすぐスマホをいじる習慣があり、これをやめて運動の時間に充てたいと思っていたが、なかなかうまくいっていなかった。
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