人生が永遠に続くかのように日々を過ごすのは、最善の生き方ではない。人は、死を意識しながら日々を過ごすことで、時間の価値を高めることができる。著者は、16歳のときに、医師から重度の疾患を招く稀な遺伝変異があると告げられ、その後の25年間を、複数のがん、腫瘍との戦いに費やしてきた。若くして、いつ命を失うかわからないという特殊な状況に置かれたことで、限りある時間を最大限に活かさなければならないという、切実な感覚を持って生きてきたのだ。
人生の大半を捧げる仕事について、本書は新しいとらえ方を提案する。「仕事とは何か」について考えるとき、「あなたは、あなたがしていることで定義される」のではなく、「あなたは、どのように誰かの役に立っているかで定義される」のだと、根本的に発想を変えるのだ。それは、「自分の能力をどのように活かせば、生涯にわたって世の中に価値のある貢献ができるか」を考えることにつながる。
仕事をすることで、人は日々世の中に小さな貢献をしている。しかし、それを実感するのは難しい。だから、小さな貢献を長期的な視点でとらえ、表現するための新しい言葉が必要なのだ。自分の弱みを克服するよりも、自分の強みを最大限に活かすことに目を向けよう。そして、それで世の中に貢献できてこそ、大きな価値が生まれる。
「人は、なりたい誰かになることはできないが、もっと自分らしくあることはできる」
この言葉は、著者が書いた言葉の中で、最もよく引用される一節だが、現在の著者の考えを十分に表すことができていない。私たちが持って生まれた才能が最大の価値を生み出すのは、自分のためだけでなく、世の中のために具体的な貢献ができたときだ。人は永遠に生き続けられないが、人が為した貢献は生き続ける。
さまざまな研究結果は、「日々の努力が他者の生活をどれだけよいものにしているのかを実感すること」が達成感と幸福感を得るために最も重要であると示している。人間は本来、他者を志向する生き物だ。ある研究者は、有意義な人生の特徴とは「他者と深くつながり、自分を超える大きな何かに貢献していること」だと定義している。それを実感することで、仕事の成果は上がり、健康と幸福度も高まるだろう。
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