勉強ができる学生とできない学生。成功する人と失敗する人。一歩踏み出せる人といつもその場にとどまっている人。こうした人たちの違いは、いったいどこにあるのだろう。
たとえばスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツは、すばらしいアイデアを持った最高のCEOだ。だが彼らが偉大なのは、秀でたアイデアがあったからではない。アイデアを実行に移したことからこそ、彼らは偉大な成功を手にしたのだ。
99%の平凡な人たちと1%の特別な人たちを分けるものはここにある。99%の平凡な人たちは、すぐれたアイデアを持っていても実行に移さない。一方で1%の特別な人たちは、かならずアイデアを行動に移す。望むものの違いではない。ひとえに実行力の差なのである。
多くの人は、朝の運動習慣や悪い癖を直す決心をしては三日坊主になり、自分の意志の弱さを嘆いて自分を責める。しかしこれは間違いだ。
実行力は生まれもった資質や意志の力などではなく、ある種の「技術」である。ピアノの演奏や車の運転と同じく、練習すれば誰でもうまくなる。
本書では、実行力を高める方法を「決心―実行―維持」の3段階で紹介する。アイデアを実行に移して成果を出すには、かならずこのステップを踏まなければならない。また、なぜわたしたちが実行に移せないのかを心理学的な分析とともに明らかにし、解決策を提示していく。
「願えばかなう」といった類の自己啓発は、昔からよくある。ところが毎日自分が成功した姿を生き生きと思い描いてみても、実現しなかったという人が意外と多い。その理由について、プリンストン大学のダニエル・カーネマン名誉教授は、自信過剰ゆえの「計画誤信」と説明する。
バラ色の未来を「イメージ」するだけでは、目標達成までにぶつかる困難を前にくじけてしまい、イメージの中に逃げてしまう可能性が高い。著者がカウンセリングをした人たちのなかにも、イメージが膨らみすぎて良縁を次々と断る人や、可能性のないビジネスで失敗する事業家、一攫千金を夢みて身を滅ぼした人は少なくない。
望みを実現するには、成功への道を探し出す「ルート探索」が必須だ。また、それ以上に重要なのが、目標達成までに何をやり、障害物をどう乗り越えていくかをイメージする「プロセスの視覚化」である。これらの条件を満たさなければ、成功を手にすることはできないだろう。
著者に相談に来た人のなかに、3度の離婚を経験して男性不信に陥った女性がいた。最初の夫は暴力で、2番目の夫はお酒で、3番目の夫は浪費癖で、それぞれ離婚にいたった。
問題を抱える多くの人に共通しているのは、問題の原因を自分の外に求める点だ。相談に来たこの女性も、よくよく話を聞いてみれば、
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