問題解決においては、「型」が大切だ。型が身につけば、問題解決の成果が安定するし、スピーディーに判断できるようになる。
「自分の考え」を客観視して捉え直すことも大切である。もう一人の自分を出現させて、自分の思考を評価させるイメージだ。いつもの思考のレベルから次元をあげて、俯瞰的に物事を捉えれば、思考の質が上がる。もう一人の自分を育てて自分自身の思考をチェックすることが、問題解決への近道だ。
問題解決の出発点としてよく言われるのが、「あるべき姿と現状のギャップ」だ。
練習問題として、A店、B店という2つの店舗の売上を比較して、どちらの店舗が問題を抱えているか判断してみよう。ある月の売上について、A店が80万円、B店が60万円だったとする。この場合、売上が低いB店を「問題がある」と判断し、売上が低い理由を調べていくことになりそうだ。
ここに売上目標が入ってくると状況は変わる。A店の実際の売上が80万円で、売上目標が120万円だった場合、その差額は40万円だ。目標の達成率は約0・67となる。一方でB店の売上が60 万円、売上目標が80万円だったとすると、差額は20万円で、達成率は0・75だ。こうしてみると、売上目標に対する差分が大きく、達成率が低いA店に注目する必要があることに気づく。
ポイントは3つある。1つ目は、現状を把握することだ。この例だと、A店とB店の売上を押さえること。
2つ目は、あるべき姿を確認することだ。この例では「売上目標」を確認する。
3つ目は、何をもって問題とするのかを決めて判断すること。現状とあるべき姿を比較すれば、そこに差があることがわかる。
問題解決には、2つのタイプがある。正しい状態に戻すための問題解決と、ありたい姿に到達するための問題解決だ。正しい状態に戻すための問題解決は、緊急性がある場合が多いため、優先されがちだ。一方で、ありたい姿に到達するための問題解決は、後まわしにされる傾向にある。未来に向けて、ありたい姿に到達するための問題解決にも、意識的に時間を割くようにしよう。
問題を解決するためには、まず解決すべき問題を見つける必要がある。しかも、起こっている問題がひとつとは限らない。
たとえば、自分が所属する課で次のような問題が持ち上がったとしよう。「顧客から商品の使い方に関する問い合わせが入っても、担当者が不在のことが多い。他の人が対応すると不慣れなために時間がかかり、対応の遅いことがクレームになっている」
この場合、問題は2点あると考えられる。「問い合わせの電話がかかってくるときに担当者がいないこと」と「担当者以外が対応すると時間がかかること」だ。
このように、起こっている事象はひとつでも、問題が複数存在していることがある。
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