入社1年目から差がつく 問題解決練習帳

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入社1年目から差がつく 問題解決練習帳
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入社1年目から差がつく 問題解決練習帳
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2021年08月12日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

売上の低下やお客様からのクレームなど、社会人として働いていると、必ず何らかの「問題」は起こるものだ。そうした日常的に起こる問題の多くには、決まった解決策がある。それである程度は解決する。

しかし、本当にその解決法でいいのだろうか――本書を読むと、そんな疑問がわいてくる。

本書のテーマは、「問題解決」のための思考技術だ。冒頭には、問題解決の「型」を身につけることで、成果が上がりスピードアップすると書かれている。

「型」の一つひとつ、それぞれのステップや考え方は、決して難しくはない。だがそれらをしっかりと実践できているかといえば疑問である。要約者は恥ずかしながら、「こうであるはずだ」という思い込みや先入観で飛ばしてしまっているステップが少なくないと気づいた。特定の方法で解決できる問題が繰り返し起きているなら、その解決法は場当たり的なものにすぎず、根本的な解決が必要なのではないかとあらためて感じた。

本書を読めば、問題解決の方法だけでなく、ビジネスの基本的な考え方も身につく。これから社会人になる人だけでなく、すでに社会人として経験を積んでいる人にも、新たな視点を授けてくれそうだ。

またタイトルに「練習帳」とある通り、問題を解きながら「型」を身につけられる。解説やポイントも非常にわかりやすい。丁寧に読み進めれば、問題解決力を着実に身につけられるはずだ。

ライター画像
中山寒稀

著者

グロービス
1992年の設立以来、「経営に関する『ヒト』『カネ』『チエ』の生態系を創り、社会の創造と変革を行う」ことをビジョンに掲げ、各種事業を展開している。グロービスには以下の事業がある。
●グロービス経営大学院
・日本語(東京、大阪、名古屋、仙台、福岡、オンライン)
・英語(東京、オンライン)
●グロービス・マネジメント・スクール
●グロービス・コーポレート・エデュケーション
(法人向け人材育成サービス/日本、上海、シンガポール、タイ)
●グロービス・キャピタル・パートナーズ(ベンチャーキャピタル事業)
●グロービス出版(出版/電子出版事業)
● GLOBIS 知見録/ GLOBIS Insights(オウンドメディア、スマホアプリ)
その他事業
●一般社団法人G1(カンファレンス運営)
●一般財団法人KIBOW(震災復興支援活動、社会的インパクト投資)
●株式会社茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント(プロバスケットボールチーム運営)

岡重文(おか しげふみ)
グロービス経営大学院教授。京都大学大学院工学研究科応用システム科学専攻修士課程修了。工学修士。NTTデータに入社。プライスウォーターハウスクーパースを経て、2000年、グロービスに入社。企業研修担当、e-Learning 事業の立ち上げに関与したのち、経営管理本部にて、情報システム部門ならびに人事・総務を統括。現在は、ファカルティ本部にて、コンテンツの開発や講師の育成業務に関わる。思考領域の責任者。著書に、『ロジカル・シンキング』(PHP研究所)、『入社1年目から差がつく ロジカル・シンキング練習帳』(東洋経済新報社)。

本書の要点

  • 要点
    1
    問題を整理するポイントは、現状を把握すること、あるべき姿を確認すること、何をもって問題とするのかを決めて判断することだ。
  • 要点
    2
    問題が起きたときには、たまたま発生しただけなのか、そうでないかを見極めなければならない。そうでないと、過剰な対応をしてしまう可能性があるからだ。
  • 要点
    3
    問題を解決するにあたっては、「分解」がカギとなる。分解によって起こっていることの解像度を上げ、その原因を考えていく。

要約

問題解決において大切なこと

「型」と「客観視」

問題解決においては、「型」が大切だ。型が身につけば、問題解決の成果が安定するし、スピーディーに判断できるようになる。

「自分の考え」を客観視して捉え直すことも大切である。もう一人の自分を出現させて、自分の思考を評価させるイメージだ。いつもの思考のレベルから次元をあげて、俯瞰的に物事を捉えれば、思考の質が上がる。もう一人の自分を育てて自分自身の思考をチェックすることが、問題解決への近道だ。

【必読ポイント!】何を扱うのか「問題」を考える

あるべき姿、ありたい姿を考える
東洋経済新報社提供

問題解決の出発点としてよく言われるのが、「あるべき姿と現状のギャップ」だ。

練習問題として、A店、B店という2つの店舗の売上を比較して、どちらの店舗が問題を抱えているか判断してみよう。ある月の売上について、A店が80万円、B店が60万円だったとする。この場合、売上が低いB店を「問題がある」と判断し、売上が低い理由を調べていくことになりそうだ。

ここに売上目標が入ってくると状況は変わる。A店の実際の売上が80万円で、売上目標が120万円だった場合、その差額は40万円だ。目標の達成率は約0・67となる。一方でB店の売上が60 万円、売上目標が80万円だったとすると、差額は20万円で、達成率は0・75だ。こうしてみると、売上目標に対する差分が大きく、達成率が低いA店に注目する必要があることに気づく。

ポイントは3つある。1つ目は、現状を把握することだ。この例だと、A店とB店の売上を押さえること。

2つ目は、あるべき姿を確認することだ。この例では「売上目標」を確認する。

3つ目は、何をもって問題とするのかを決めて判断すること。現状とあるべき姿を比較すれば、そこに差があることがわかる。

問題解決には、2つのタイプがある。正しい状態に戻すための問題解決と、ありたい姿に到達するための問題解決だ。正しい状態に戻すための問題解決は、緊急性がある場合が多いため、優先されがちだ。一方で、ありたい姿に到達するための問題解決は、後まわしにされる傾向にある。未来に向けて、ありたい姿に到達するための問題解決にも、意識的に時間を割くようにしよう。

何を問題とするかを考える

問題を解決するためには、まず解決すべき問題を見つける必要がある。しかも、起こっている問題がひとつとは限らない。

たとえば、自分が所属する課で次のような問題が持ち上がったとしよう。「顧客から商品の使い方に関する問い合わせが入っても、担当者が不在のことが多い。他の人が対応すると不慣れなために時間がかかり、対応の遅いことがクレームになっている」

この場合、問題は2点あると考えられる。「問い合わせの電話がかかってくるときに担当者がいないこと」と「担当者以外が対応すると時間がかかること」だ。

このように、起こっている事象はひとつでも、問題が複数存在していることがある。

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要約公開日 2022.01.07
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