本書は、事実を分かりやすく伝える文章を「知的文章」と定義し、その書き方についてまとめたものである。論文や報告書、レポートなど、論理的な文章を書こうとするとき、日本語には「主語が省略可能」「文法上のしばりが緩い」「あいまいな表現を好む」といった、弱点というべき特徴がある。このため、日本語は論理性に欠け、日本語で論理的な文章を書くことはできないと主張する人もいる。
しかし、それは言い過ぎだろう。日本語の欠点を意識し、それを補う努力をすれば、論理的な文章を書くことができる。あいまいな表現を避け、論理的に考えたうえで、論理の流れに乗って論旨を展開することが重要だ。
論理的な日本語を書くことは、知的活動の基礎である。文章を書き上げたら、主語が推測できないような省略やあいまいな表現はないか、述語は明解であるか、そして論理的に考え論理的に表現しているかを確認してみよう。
分かりやすい文章とは、読んだときに一度で素直に頭に入ってくるような文章だ。何度も読み直さずにすむような文章を書くための原則は、「簡潔」「明解」「論理的」の三つである。著者は、これを知的三原則と呼んでいる。
まず、「簡潔」「明解」の2条件について考えてみる。分かりやすい文章を書くときのセオリーの一つは、「短い文を書く」ということだ。短い文であれば、普通一つのテーマ、最大でも二つのテーマしか入らない。冗長な表現を避けることができるようになり、文の構造がつかみやすく分かりやすい文になる。
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