アマゾンの基本理念として、「デイワン(はじまりの日)」がある。アマゾンは常に創業したばかりであり、決して「デイツー(二日目)」になってはならないのだ。なぜなら二日目には組織は立ち止まり、時代に乗り遅れ、やがて会社が傾いていくからだ。
デイワンに留まるためにはどうしたらいいのか。その答えは、お客様にこだわること、既存のプロセスを疑うこと、外部のトレンドを取り入れること、そして素早く意思決定を行うことだ。
そのうち、意思決定のスピードを上げることに関し、意思決定には2種類あるという認識が役に立つ。ひとつは、いったん決めたら後戻りができない意思決定だ。このような決定はゆっくりと慎重に下さねばならない。
だが、ほとんどの決定はそのようにする必要はない。たいていの決定は後戻りできる類のものだ。あらかじめ「後戻りできるかできないか」と問うことで、組織としての意思決定のスピードを底上げできる。
アマゾンの目標は、世界で最もお客様中心の企業になることだ。恐れるべき相手はライバル企業ではなく、お客様である。
アマゾンをいまの姿にしてくれたのもお客様であり、大きな義務を負っている相手もお客様だ。たとえ、いまお客様がアマゾンを支持してくれていたとしても、ほかの誰かがよりよいサービスを提供した瞬間に、そっぽを向かれることも、著者は理解している。
だから、あらゆる機会を捉えて常に改善し、実験し、イノベーションを起こす努力を怠ってはならない。
著者は、しばしば「今後10年で何が変わると思うか?」という類の質問を受ける。これに対し、著者は「今後10年間で変わらないものは何か?」という問いがさらに重要だと考えている。
それは何か? 「豊富な品揃え」「低価格」「迅速な配達」――こういったお客様のニーズこそ、どんなに時代が変わっても変わらないものである。
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